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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

ゲームとWeb2.0的開発

コメント

Life is beautifulでWeb2.0的開発に関するコラムが2本あり、一本はゲームの開発について論じている。

  • Web2.0時代らしいエンジニアのクリエイティビティの引き出し方

http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/web20.html

  • ゲームの開発も Web2.0 的にやっても良い時期かも知れない

http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/web20_1.html

携帯ゲーム機、次世代機ともにオンライン配信が可能になりつつある今、Web2.0的なゲーム開発について論じている。おさらいまでに書いていくと、Web2.0的な開発とは、流通コスト、インストールのサポートなどが不要なWebアプリケーションでは、トライアンドエラー的な開発が可能になり、50%ほどの完成度でまずサービスをWebに公開し、ユーザーのフィードバックを受けながら完成度を高めていく開発手法である。この手法は特にはてなで利用されており、この流れを理解しない人によっていろいろ議論も起きた。

  • 近藤淳也の新ネットコミュニティ論:50%の完成度でサービスを出す

http://blog.japan.cnet.com/kondo/archives/002408.html

この手法には、以下の前提があると考える。

  • ソフトウエアはサービスである。
  • 開発者はユーザーがしたいことを完璧には認識できないため、完璧な設計をするのは難しい(リリース前の大規模テストはコストが高い)。
  • 実はユーザーも自分がどのようにサービスを利用したいかを説明できない。
  • ユーザー群という集団が形成され、それによって利用形態が変わっていく中で、初めて価値のあるサービスの形というものが集団知として認識されていく。

この認識が価値あるソフトウエアを作る中では重要である。おもしろいのはWinnyなどはまさしくこの流れの開発を行いながらも、インストール型であったという点だが、あれは利用することへの莫大な利益ゆえである。
また、ベースとなる技術の高さというのは別の問題でGoogleなどは上のフローに技術的に圧倒的なものをつくるという認識があり、さらに地位を確固たるものにしている。

まぁ、そんなわけで、Web2.0的開発のおさらいもおわり、これがゲーム開発へと展開するわけだが、Life is beautifulのエントリーで述べられていた流れは以下の通りである。

1.2〜5人程度のミニチームを複数作り、それぞれのチームに、「指定した期間(例えば3ヶ月)でプレイヤブルなベータ版を作れ」と指示を出す。この際、前もって「企画書の作成」とか「プロジェクトの承認」とかは一切する必要はなく、自分達が良いと思うものを作れば良い。

2.ゲームはどんなジャンルのものでもかまわないが、(1)ハードウェアの性能を最大に引き出す部分で勝負するのではなくゲームの面白さそのもので勝負する、(2)マルチ・デバイスでのビジネス展開を前提として移植しやすさを重視する、(3)ベータ版は無料配布を前提にまずはパソコン向けのものを作る、の点に注意して作らねばならない。

3.作られてきたベータ版に関しては、会社として「そのゲームが面白いかどうか」の判断は一切せずに、倫理・著作権法上問題がないことだけを確認した上で、インターネットで無料配布する。その際、ゲームごとの掲示板を作り、ユーザーからのフィードバックを受けられるようにしておく。掲示板の管理者は、クリエーター自身が行う。

4.一定の期間(例えば6ヶ月)をトライアル期間とし、その間にクリエーター達はファン(=コミュニティ)を集めなければならいない。もちろん、会社はネットを通じてベータ版の存在のプロモーションはするが、トライアル期間中の、ユーザーのフィードバックを受けての改良・機能拡張、掲示板を通じたサポート・企画、などは全てクリエーター達が自分自身で行う。

5.トライアル期間の終わりに、コミュニティの大きさともり上がり方に応じて、経営陣がそのプロジェクトを正式なものにするかどうかを決定する。正式承認されれば、必要な予算と人員が割り当てられる。そうでなければ、プロジェクトはその時点で終了する。

6.正式なプロジェクトとして承認された場合でも、ベータ版はそのまま提供し続け、コミュニティのフィードバックを受けつつ製品を作り上げて行く。そして、サービスの有料化、パソコン以外のデバイスへの展開などでビジネスとして立ち上げつつ、引き続きコミュニティからのフィードバックを受けて、機能追加などして行く。

これは、PSPのスポット配信やDSの無線LANサービス、また次世代機のフラッシュメモリを用いたダウンロードサービスを用いればパソコンに限定することはないが、おそらく狙いは、ゲームをやらないつまりゲームハードを持っていない層をターゲット可能にするため、パソコンを配信のメインに考えているのだと思う。任天堂の最近出すソフトはかなり明確に低コストでインターフェース、世代的にいままでにないゲームという姿勢を意識しているが、その進化の一つとしてとらえることも可能だ。

このサービスがあれば、もっともいい点はいまやほぼなくなった、もしくは大ゲームメーカーにおんぶしてもらっている昔ゲームハウスメーカーと呼ばれていた5人程度の会社が健全に経営していくための、基盤になるかもしれない。そんなメーカーは規模ではなく技術的、もしくはアイディア的な勝負をしたいと思うし。ある種OS的なまったくゲームとは関係の無いサービスの展開も期待でき、これが久多良木さんの考えていたPS3のエコシステムともつながってくる。

個人的には育成ゲームなんかもかなりこのシステムと親和性が高いと思うのだが、どうだろうかねー。