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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

アインシュタイン相対性理論の誕生

書評

アインシュタイン相対性理論の誕生 講談社現代新書

アインシュタイン相対性理論の誕生 講談社現代新書

そういえば、最近、この本を読み終わった。内容としては、物理学の奇跡の年と呼ばれるアインシュタインが3本の論文「ブラウン運動の理論」、「光量子論」、「特殊相対性理論」(なんて豪華な3点セット)を発表した1905年に、アインシュタインがどのような思考過程でこのような論文を執筆したかを書いたもの。全編、興味深い内容満載の非常におもしろい書籍だが、特におもしろかったエピソードを。

アインシュタインが1904年当時に物理学の主流であった、現在は古典物理学と呼ばれるニュートン力学、マクスウェルの電磁場理論、そしてクラウジウスのエネルギー保存則とエントロピー増大則からなる熱力学を見たときに、熱力学以外に関しては、それぞれ、ある特殊なケースを相対した場合、それに沿った仮定を置かなければならないケースが存在したため、その時点で先の二つの理論は破棄されるべきだと感じたと述べている。
エントロピーはドイツの物理学者クラウウジウスが苦労して定義した物理量だが、熱力学はこの二つの法則だけど、すべての状態を記述可能であり、物理学のすべての理論はこの熱力学を基本に拡張すべきだとアインシュタインは考えた。そこで、まず、この熱力学に統計的概念を加えたのがブラウン運動の理論となるのだが、当時、経済学的手法だった統計的手法を用いて対象とする事象を拡張したのはきわめて画期的なことだったようだ。この思考過程が非常におもしろい。若いアインシュタインがいろいろな仮定を導入しなければならない各理論を眺めたとき、それを破棄すべきだと考えたのは、いかにも才気に満ちあふれた物理学者像を彷彿とさせる。

もう一つは、特殊相対性理論が発表された後、だれしもが、その成果について自分なりの解釈をすることができず、1年ほどこの論文は放置された。しかし、そのころ最大の物理学者だったプランツがこの論文を評価し、この論文に対するレビューを発表したことで、他の物理学者も安心して特殊相対性理論に言及できるようになった。1年間、全く言及さえされなかった状況と、最初にそれを評価する声を上げたのが、あのプランツだったのがなかなか素敵。本物は本物をしるということか。

ほかにもいろいろおもしろいエピソードがありましたし、丁寧にアインシュタインの思考過程が説明されているので、おすすめの本です。この本を読むと、天才の思考というより、以下に常識を疑うか、いかに常識から思考をリープさせるかが科学者にとって重要かということがわかります。