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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

DRMの未来

blogの題名をFuture Insightというものに変更したことだし、一つの技術についての未来に関する自分の考察をきちんとまとめてみたいなとおもっていましたが、今週の「日経エレクトロニクス」が「DRM崩壊の序曲」というテーマだったので、この特集を使ってDRMの将来について考えてみたいと思います。

参考として、以前BDに関わる以下のようなエントリーを書きました。

DRMの現状

上記エントリーでも述べましたが、コンテンツビジネスを活発化させるためには「消費者」と「コンテンツプロバイダ」、そしてみすごされがちですが、ニコニコ動画やYouTubeのような「コンテンツ仲介業者」の間で利益が最大化するDRMを採用する必要があります。しかし、DRMは現在、「消費者」にとっては自分たちの自由を奪うもの、「コンテンツプロバイダ」にとってはすぐに破られて信用がならないもの、「コンテンツ仲介業者」にとってはDRM技術が不完全なため著作権保護コストが高すぎるという事態になってしまっています。インターネットでは「無料のコピー」という行為がそのメディアの構成要素となっており、強力すぎるDRMはインターネットにそぐわないという、「消費者」のニーズとのミスマッチがあります。一方、「コンテンツプロバイダ」にとってはどんなに強力なDRMを採用してもDVDのように1年以内にそのDRMは破られてしまい結局役に立たないという現状があります。簡単に言うと、今のDRMを取り巻く環境はiTunesなどの一部の成功例をのぞき、全ての関係者にとって不幸な状況と言わざるを得ません。

DRM不要論

DRMの現状に対する不満を受け、DRM不要論が活発化しています。たとえば、アップル社CEO Stabe Jobsの「音楽配信にDRMは不要である」という言葉と共に始まったiTunes Plusは記憶に新しいところです。

また、1999年にDVDのDRMが「CSS」が16歳のハッカーJon Lech Johansenによって破られましたが、「このDRMが破られた後もDVDの売り上げは落ち込んでいない」と電子フロンティア財団に所属するFred von Lohmanは主張します。彼はさらにコンテンツプロバイダはこの事実にすでに気づいており、DRMはコンテンツの保護ではなく、BDのような次世代技術に自分たちの望む機能を入れるための名目になっていると主張します。たしかにBDに搭載された数々のコンテンツ保護技術をみると彼の主張も一理あるなと思います。

そもそも消費者にとってはDRMがフリーならそれが一番いい訳で、常にDRM不要論が立ち上がることをコンテンツプロバイダ側は常に意識し、消費者が出来るだけ制約の受けないようなDRMを適宜選択する必要があります。

DRMの未来

それでは望まれるDRMの未来とはどのような形なのでしょうか。僕、個人としてはDRMの未来は大まかに以下の二つの流れにあると思います。

DRMフリー以外に音楽配信ビジネスの未来はない

iTunes Music Storeの成功を受け、消費者が望むDRMの強度というものが見えてきました。大まかにまとめると、

  • 自分のPCで再生できる
  • 自分のお気に入りの携帯機器にいつでも自由に持ち出せる
  • 一度権利を購入したら何度でも再ダウンロード出来る。

というような条件は最低満たす必要があります。

この「自分のお気に入りの携帯機器でいつでも自由に持ち出せる」という項目がiPodを握るアップル社以外の企業には非常に困難で、この条項をクリアしようとすると、どうしても消費者にとって過度に強力なDRMとなってしまうため、反発を招きます。結局この項目をクリアするためにDRMフリーにせざるを得ないというのが、アップル社以外の現状です。まして、アップル社がDRMフリーを名目的にでも推進する以上、音楽配信のDRMはフリーか非常に緩いというもの以外にあり得ないのではないでしょうか。また、現在、多くのファンを抱えるアーティストはCDの売り上げではなく、コンサートが主な収入源となっています。このような現状を考えても音楽配信ビジネスは今後、着うたのような例外を除きDRMフリーに進まざるを得ないでしょう。

低画質動画は自動コンテンツ認識のDRM技術、高画質動画は強度の高いDRMが求められる

すでにDVDに関してはPC的にはDRMフリーみたいなものなのでここではおいておくとして、インターネットで配信するSD画質程度の低画質動画は、そもそも厳密な取り締まりを行うことが難しい、厳密に取り締まりを行うとコストがかさむという現状から、現在GoogleがYouTubeで進めているような自動コンテンツ認識技術による著作権保護コストの低下という方向に向かうと思います。

次にBDのようなHD画質動画には、今後もDRMが求められるでしょう。おそらく、コンテンツ先進国においてBDのDRMはほとんどメリットにならないかと思います。HD画質動画のネット配信も加速していくでしょうし、そちらと平行してBDのDRM強度もあるべきでしょう。ただ、インドや中国など基本的に著作権を守るという概念はほとんど存在しない国で今後コンテンツビジネスを行う上での対策という観点から考えると、どうしても暗号を破られても再度動的に暗号を更新するという「BD+」の技術は必要でした。こんな技術を使う機会はコンテンツ先進国ではないかもしれませんが、それでもこのような技術を導入したことに、次の世代、中国やインドでビジネスを展開しようとするコンテンツプロバイダの意志を感じます。