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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

ORF2008「イノベーションは止められない」セッションログ

慶應義塾大学のSFCが研究成果を発表しているORF2008で、楽天 三木谷浩史、元ドコモ 夏野剛というどう考えてもアクが強すぎる二人の「イノベーションは止められない」というセッションがあったので講演ログを取ってみました。

最初の10分ほどコーディネータの方がしゃべっていたのは、ちょっと聞き逃したので、三木谷さんが話を振られてからのログです。このログの前に昨今の問題として、薬事法改正によりネットで薬が買えなくなる話があった模様です。

見どころとしては楽天 三木谷氏の「もうちょっとテレビ局がもつかなと考えていたが、すでにもたない状況になっている。思いの外早かった。もうバンバンテレビで広告を打つ時代は終わった。今後もテレビ広告は回復しない。放送と通信なんて区別をなくして、放送側から歩み寄る必要がある。」という発言や村井純教授の意気込みなどでしょうかセッションを聞いていていろいろ考えることがあったので、別途自分の意見をまとめたいと思います。

楽天 三木谷浩史の10分講演: 革新的なネットビジネスを維持するには

  • 水は低い方に流れる
  • どんなに規制をしようが、その壁はいずれ打ち破られる。
  • 興銀の役割は終わったので新しいビジネスをはじめた

  • ネットの意味
  • ネットは貨幣のありかた、国境の意味が変わってくる変革
  • 各社のCEOがどんどんリアルタイム会議システムをどんどん導入し始めている。
  • 一台一億円、日本とアメリカでその場にいるような臨場感
  • 日本の官僚などは短期的な視野で短期的な議論をしている。
  • 日本をどのようにするのかというビジョンを持って、日本をどうするかを考える必要がある。レベルの低い議論が続いている。

  • 楽天では
  • 都市部よりも地方の方がよく売っている
  • 政治家、官僚はネットがあるから地方がダメになってくるという間違った発想を持っている。まず啓蒙をする必要がある
  • 地方の生産者が付加価値の高いサービスを提供できるよりフェアな競争が出来るようになる
  • 地方のシャッター通りでビジネスをしていた薬局の方々がチャンスを得ている
  • 法律のありかた
  • 官庁からの省令で薬局のビジネスがつぶされようとしている。これは間違えている。
  • 法律のあり方の根本的な部分が間違えている。日本は国会が法律を決めているように見えて、実は細かい部分は官僚が全て決めている。この細かい部分が非常に重要。
  • 5年後、10年後に日本がいい立ち位置にいるように立法のありかたを考える必要がある。
  • ヨーロッパでは強力にネットビジネスを推進。日本もネットビジネスを可能にしないと国際的な競争力がつかない。薬事法の修正は非常に重要。

元ドコモ 夏野剛の10分講演: イノベーションについて

  • 理解できないことが決まっていく
  • 薬をネットで買えなくなるというのは信じられない
  • 薬を楽天で買っているが理解的出来ない。某社のモデルナンバーの変更も理解できない。
  • 小中学生が携帯を持ってはいけないとかも理解できない。理解できない議論だらけ。

  • 環境変化の激しさ、変化について
  • 政治家とか大企業の役員が行っていることも理解できない。
  • 環境、技術の変化が激しすぎて、政治家や大企業の役員の頭がそれについていってなく、信じられないような政策や企業方針が出てきてしまっている。
  • 日本だけは時代から取り残された信じられない政策、企業方針が出てきている。
  • このORFの会場は希有の場。日本の10代から70代まで全世代がいる。日本ではこれが起こっていない。
  • 政治家、企業の役員は50歳以上、審議員は55歳以上。
  • 世代間で体験の格差が全く違うのに、政策、企業方針の意志決定の場は一つの世代で占められている。
  • 多様性をどのように持ち込むかを考える必要がある。

  • 「これライブ配信なの、やばいじゃん!」
  • 今は慶應の教授だが、実は早稲田出身。大企業行って、変化は嫌いだった。その後、企業が倒産したり、バツイチになった。変化が激しい。企業の競争力が来週維持できているかどうかなんてわからない。
  • あらゆることが変化することは仕方ない。今日の状態から明日を予測をするのは止めた。
  • 積み上げ方式の発展ではなく、どんなサービスがあれば楽しいかを考え始めた。
  • 一昔前はキャッシュをだぶつかせる会社はバカ。しかしいまは素晴らしいマネージメントと言われている。
  • 半年後に何が起きるかは絶対にわからない。全役員が50歳以上の企業はやばい。55歳以上の審議会もやばい。
  • EUが導入されたときもものすごい反発があったけど、日本だけが変化が起きないようにしている。今の産業構造を守ることが自分の仕事だと役員が考えている。変化を前提にした、多様性のある議論が必要。

ディスカッション

国領: 国が安全、安心をまもらなければいけないという考えがある。消費者にも国が守るべきという意識がある。これが規制が産まれる原因になっている。薬事法の改正などはまさしくこの例。携帯フィルターもおなじようなもの。子供が守られるべき存在であることに意義はない。ただ、誰が行うかという議論はある。親が責任をもてる体制が必要。どういう社会にしたいのか。ガバナンスの構造をどうするのかについて話を聞きたい。

夏野: 子供の話は教育の話が絡んでくるので違う議論になる。まずはECの話でいきたい。

三木谷: 薬事法の改正は既得権益を守るためのものになってしまっている。審議会は官僚の言うことを聞くメンバーで構成されており、パブリックコメント、審議会が法改正の言い訳になっている。非常にクローズドな場で議論が進められている。審議会、プロセスをネットで公開する必要がある。消費者保護は重要だが、意味のない消費者ほどでトランザクションコストが増大するのは良くない。この良くない政策をだれが決めたことをごまかすために審議官、パブリックコメントが使われている。

ここで質問タイムスタート

質問者: 日本には市民権というものの確立がなかったことが問題だと考えているが、その辺りをどのように考えるか。

三木谷: 日本には曖昧な部分があり、曖昧なまま決まっていくことが多い。

夏野: 日本が考えなくて済む環境にある。周りがみんな日本人、ジェネレーションギャップもない。会議は同じ年代、飯食うのもみんな同じ世代。居心地が良い。あえて変化しない。自分とは何だろうと考える環境にない。アメリカにいると自分のことを考えざるを得ない環境にある。日本も今後、外国人が周りにあふれると、そういうことを考えざるを得ない環境になってくるのでは。

ここで日本のインターネットの父 村井純教授登場。

村井純: 日本のインターネットを作った諸悪の根源の村井ですが、俺はとてもイノベーションに対しては楽観的。インターネットを始めたときは、これやっていいの?と役所に聞いたら曖昧な返事しかなかった。いざ始めると膨大なトラフィックがあり力がうまれた。ECビジネス楽天の話もそう。楽天という大きな成功があるから、楽天の発言には力がある。みんなの力さえあれば審議会なんかなくても話をすすめることができる。これがイノベーション。これができなくなったら日本は終わる。
自由を奪わない、やりたいことが出来る。クリエイティビティを形にできる環境をつくるのがインターネットのポリシー。フィルターなんてやっちゃいけない。私はインターネットはだれでも使えるという看板は下ろさない。

ここでマイクロソフトの山口氏に話が振られる。

山口(マイクロソフト): 役人は絶対にこけないように、こけても理由があるように準備している。委員会や審議会はそういうリスクを排除するためのもの。この課程で産まれた法律はだれも責任をとらない。日本でリスクを取る企業がなかなか出てこないのは、役人が決めた範囲でしかリスクをとらない。
どういう風に声を上げれば、だめな法律が出来ることが防げるのか。日本にはロビイングの機能が欠けている。アメリカでは議員にひっきりなしにロビー活動がある。日本ではほとんどそういうことがなく、もっと企業からのロビー活動が必要。

国領: インターネットは悪だという人はいらっしゃりますか。

ばんの: (質問を全く無視して)ゴジラ対ヘドラを監督したばんのです。ゴジラ3Dをハリウッドと開発して世界的に配信したいのだが、将来的なコンテンツ配信に関心はあるか?

三木谷: 日本にはIT化が進んでいない部分がある。世界でコンテンツの活用がすすんでいるなかで、日本にはコンテンツ側に問題がある。日本のコンテンツにはクリアではない著作権、広告代理店の2社の独占など。

国領: じゃぁ、それをどうしたいの?
三木谷: もうちょっとテレビ局がもつかなと考えていたが、すでにもたない状況になっている。思いの外早かった。もうバンバンテレビで広告を打つ時代は終わった。今後もテレビ広告は回復しない。放送と通信なんて区別をなくして、放送側から歩み寄る必要がある。
日本のコンテンツはアジアで受ける。楽天が台湾に行っただけで、すごい話題になった。しかし全然マネタイズできていない。ばかじゃないの。コンテンツを海外に輸出するために、日本の中でまず著作権を海外に打って出るために整理する必要がある。どう、夏野さん

夏野: すでにインターネット上ではコンテンツに対してユーザから反応がばんばんでているので、それを推し進める。日本はすごくもったいない。もっともっと海外で通用するコンテンツを外にだしていける。やれると思っている人がやればいい。やれるから。
ただ、ルールでやりたい人を縛るのは絶対に良くない。自分で考えなきゃいけない社会にしていかないといけない。

まとめ: さきほどロビイングという話があったが、それが非常に重要。日本では審議会が調整してしまうが、アカデミック側からそれを打破していく必要がある。イノベーションは異質なもので、変化がきらいない人がいっぱいいる。ただ、変化がないとイノベーションはおきないので、イノベーションが起きやすい多様性を容認する場を作っていく必要がある。