読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

ホリエモンが描いたソニー買収とは何だったのか

僕はホリエモンこと堀江貴文氏が成し遂げようとしていたことには非常に興味があります。具体的に言うとあのタイミングで堀江貴文氏という逸材を検察の判断で潰して良かったのかということであり、堀江貴文氏が証券取引法違反の容疑で家宅捜査を受ける時期に計画していたと言われる「ソニー買収」がどのような結果をもたらしたか、ということに関する興味です。

堀江貴文氏がソニー買収を行ったとして、本当にiPhoneを超えるプロダクトを作成することが出来たのかを判断したいと考えていました。それは単純にプロダクト、コンテンツ業界で食べているものにとっての純粋な疑問であり、ホリエモンのソニー買収に関する青写真に関する興味でもあります。僕の知る限りでは、ホリエモンがソニー買収後の青写真に具体的に触れた文章は以下の2つです。もっといっぱい資料はあって、あまりうまく拾えていないだけかもしれません。また、堀江氏本人が語っていないものは除去しています。なので、ヒルズ黙示録などの言及はここでは取り上げません。

インタービュー、堀江貴文氏の本から集めることのできる情報

一つはIT proの以下のインタビューです。

ソニー買収の金融的スキームは別として、iPhoneという形を思い描いていたという部分が非常に興味深いです。また、より僕が興味深いと思ったのは、堀江貴文氏がソニー買収を行う理由として挙げた以下の部分です。

ソニーが魅力的だったのは,音楽と映像のコンテンツを保有していること。それにオーディオ機器やモバイル,有機ELなどの技術。金融商品もあり,FeliCaの技術もある。逆にいらないと思っていたのは,大型テレビなどの家電製品で,中国の家電メーカーに売却するつもりでした。ゲーム機事業もいい時はいいが悪い時のリスクが大きいので,マイクロソフトに売却してしまえばいいと考えていました。

ゲーム機の部分は別として、ホリエモンが売り払おうと思っていたのは、現在よくマスコミが「モノづくり」と叫ぶ大型テレビなどの家電分野であり、彼が重視していたのがオーディオ機器やモバイル、有機ELなどの技術、金融商品、FeliCaの技術などオーディオを別とすれば現状外部からはソニーのメイン事業とは思われていない部分です。では、この分野の力を使って何を作ろうとしていたかという答えがiPhone的製品ということでした。さらに特化しようとしていた分野が「ブラウザ閲覧機能」ですからフルブラウザが搭載されているものを意識していたようです。そこにソニーのコンテンツを載せていくということですから、まさしくiPhone的製品です。ただ、上のインタビューだけではわからない事も多いです。ね

ここでもう一個おもしろい記述が最近発売されていた以下の本にありました。

徹底抗戦
徹底抗戦堀江貴文

おすすめ平均
starsライブドア事件を両側から見ることができるかも?
starsまさに「事実は小説より奇なり」、一気に読んでしまった
starsライブドア事件のもう一つの真実
starsライブドア事件、当事者側から見た世界観、宮内氏との対比。
stars「熱かった」あの日々の思い出・・・

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
この本、地味にかなりおもしろいと思います。薄い本ですが、堀江貴文氏が当時何を考えていたかがかなり具体的にわかる感じです。もっと堀江貴文氏がライブドアを経営している時に何を考えていたかを書いてくれればさらにおもしろい本になったと思いますが、読みどころは充分あります。
この中で堀江貴文氏がソニー買収に関しても記載がありますので、その一節を引用したいと思います。

ライブドアは当時、日本企業としては初めて、ヨーロッパに本拠地を置く「Skypeテクノロジー社」と半独占的業務契約を結ぶことに成功していた。同社のネット電話とメール・メッセンジャーを統合したP2Pのソフトと、携帯電話ハードの技術、そして、当時流行りつつあったiPodのような携帯音楽プレーヤーを融合させ、Wi-Fiも使えるようにしたら、画期的な携帯情報端末ができ、さらにメッセージャーやメールを使用してのコミュニケーションがもっと活発になるな、と考えたのだ。
そのためには「ソニー」のブランド力と技術、そして音楽・映像のコンテンツが必要だった。ソニー=音楽プレーヤーというイメージができているのも好都合である。また、ネット音楽配信事業の優勝劣敗を決するのは、どれだく多くの楽曲のスタート時に提供できるかにかかっている。すでに音楽、映像業界に深く入り込んでいるソニーならば、競合他社に対して優位に事業をはじめられるはずであった。
iPodで携帯音楽プレーヤー市場の地殻変動を起こしたアップル社に、かつての覇者ソニーが追いつき追い越すためには、この戦略しかないと思ったし、ネット時代の個人向け端末は携帯電話でもノートPCでもないく、現在のiPhone的なものになるであろうと、当時の私は結論づけていた。実際に、Skype関連の後援会で、私はそのことを将来のネット端末の形として提示している。
ソニーとライブドアを合併させることでライブドアブランドを捨て、新生ソニーはiPhone的端末で世界を席巻、世界で一番利益をあげる企業体になる。これが、私の考えたゴールであり、そのゴールが見えたところでで宇宙ビジネスに完全にコミットする予定であった。

この記述で堀江貴文氏がどのようなことを考えていたかがさらに詳しくわかります。彼にiPhone的製品の開発を指揮する力があるかどうかは別として、まさしくiPhone的製品を想定してようです。上の記述から、当時ライブドアがライブドアワイヤレスを展開していたことも思い出されます。(ライブドアワイヤレスは急激な規模拡大は終了したもののまだサービスは行われています)このワイヤレス網をさらに強化し、Skype、コンテンツを流通させることが彼の考えていた青写真のようです。

まとめ

で、こうやって堀江貴文氏の言説を並べてみても感じるように、ソニー買収後の青写真についてたぶんそこまで詰めて考えていた訳ではないのではないか、というのが僕の考えです。プロダクトとして確定していたことと言えば、

  • フルブラウザ搭載
  • ソニーの音楽、映像的ブランドを全面に活かす
  • 可能な限りたくさんのコンテンツを売買可能
  • Skypeを使ってメッセージ、ネット通話が可能
  • Wi-FI網を積極的に利用

といったところでしょうか。上の要素を備えたモノが世界を席巻できたかといえば、それは結局プロダクトとしての完成度次第としてしか言えません。こうなってしまうと本当に歴史のIFになってしまうのですが、個人的には堀江貴文氏が仮にソニー買収に成功していたら、かなり良い線のいったプロダクトは作成できたのではないかと思います。それは堀江貴文氏が時折見せるエンジニア的気質からそのように感じました。例えば以下の彼の発言です。

H:だからけっこう便利いいですよね。携帯からの使い勝手はlivedoor Blogとかより全然いいんじゃないですか。自由度があるし、すごい。有料課金コースとかもないし。あと、ちょっと僕はこの間、2ちゃんねるの「ひろゆき」かなんかと話してて思ったのですけど、よく止まる方ですよね、アメブロは。メンテナンスがよくあって、確か一週間に一回ずつ、ほんとに全く見れなくなるメンテナンスがあるんですよね。それがすごいな、っていう話をしてたんですよ。エンジニア的に言うと、ありえないよね、みたいな。まあ、百歩ゆずってブログの更新がメンテナンス中はできないというのはいいですけど、ブログが見られないっていうのはいくらなんでも、なくね?みたいな。
(中略)
H:僕が社内にいたら、それはないよなー、と思います。
G:要するに、コメントは書けない、ブログも書けない、まあそれでも表示ぐらいしとけ、って感じですか?
H:ていうかもう、それもねーよ、って言いますけどね、僕だったら。ふざけんなーって。「止めなきゃ、システムの更新ができないなんて、あるかそんなもん!そんなサービスなんかあるか!」ってたぶん言いますね。
G:システムのやり方によっては止めずにできるはずですからね。
H:何もかも止めるというのはエンジニア魂的にはないよね、って話です。

結構、プロダクトを作成するときにこういうエンジニア的に見ておかしいだろということを曲げないことが重要だったりするので、何となく良い物をつくれるんじゃないかと勝手に感じました。理由として弱いですが、まぁ、この部分は完全に想像なのでつっこまないでください。たぶん堀江貴文氏ではiPhone的製品は作れなかったという根拠もたくさんあると思います。あと、堀江貴文氏がプロダクトの美しさにそこまでこだわるとは思えないので、たぶん美しさという点ではiPhoneに全然及ばなかったと思いますが(笑)
しかし、堀江貴文氏のような逸材を検察という国家権力の一機関が抹殺してしまったことは返す返すも残念です。裁判を終えてからの活躍を個人的にはかなり期待しています。