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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

チームラボの猪子社長の常人のものではないアカギ的発想について

チームラボの組織運営にはとても興味があり、以前もこんなエントリーを書きました。

こんなのチームで出てくるわけないって思いませんか?でもチームラボでは、これをチームでやってるそうです。しかもミーティングの度にPMが変わるのだそうです。凄いですよね。どのようにやっているかというと、たとえばチームのデザイナーが5人だとすると、5人のデザイナーがそれぞれ同じテーマで別のイメージを作ります。それを見て、PMが「こっちの方向性」とどれかひとつを選ぶと、5人のデザイナーはそのひとつをベースにまたそれぞれ別のバリエーションを作ります。でてきたものに対して「これでOK」と思うまで、繰り返しこのプロセスを行うのです。

上のエントリーで書いた、まるで遺伝的アルゴリズム型チーム運営システムに大変驚き、そして感銘を受けたものです。というか、あのid:shi3zさんを持って、「猪子さんの凄さは時空を超えてます。というか野武士。もう野武士と語る文脈なんか持ってない。野武士っていう表現が失礼だったら、武将とか頭目。もうそういうレベル。」とまで言わせる人間はそうはいないと思います。なんすか武将って(笑)

で、上のエントリー以降、チームラボの猪子社長の発言には非常に注目していたのですが、今日見ていたエントリーで猪子社長の発言を発見しました。

こちらの記事での猪子社長の言葉も常人のものではありません。id:shi3zさんが「武将」と例えましたが、僕の解釈としては常識の裏を突くあたりが「アカギ」的な人物なのかと思いました(アカギを良く知らない人のために説明させていただくと、アカギは以下のマンガに登場する天才賭博師です)。

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それでは上の記事の猪子社長の発言を確認していきましょう。

猪子 英語なんてまったく必要ないと思う。会計なんてやっても売り上げは上がらないし(笑)。専門性が大事。現在は専門分野がさらに細分化されていて、そういう専門性は獲得するのは大変。コミュニケーション能力もいらない。

この「英語なんてまったく必要ないと思う」と「コミュニケーション能力もいらない」っていう発言が最初からすごい気になりますね。この発言を受けての次の発言がこちら。

猪子 (コミュニケーション能力は)むしろないほうがいい。コミュニケーションってエンターテインメントだから、その能力が高いと楽しい。だから新しいコミュニケーションのほうに行かないんです。コミュケーション能力が低い人のほうが新しいコミュニケーションのほうに行く。たとえば、コミュニケーション能力が高いと、女子大生とも共通の興味がなくても話せるわけ。それは楽しいことです。でも、コミュニケーション能力が低い人は、女子大生と話すことができないから、自分のすごく詳しい分野をブログなんかに書く。そうすると、自分が本当に詳しい分野に対して本当に理解してくれる人が集まってくる。いい人材もいいユーザーも集まる。進化論と一緒で、"前のコミュ二ケーション能力"が高い人は進化できない。(前時代的な)コミュニケーション能力の低い人のほうが有利になってくる。コミュニケーション能力の低い人が勝つんですよ。

もうね、なんというか、この発言は常人の発想ではないです。少なくとも大きな会社を運営していう社長から出る発想ではないです。日経アソシエのようなビジネス書がコミュニケーション能力重要、人脈重要というなかで一人この異端の解釈。コミュニケーション能力が低い方が良い人材とユーザが集まるという部分は相手との良い関係性を築くのがコミュニケーション能力だと考えていたら絶対に出てこない発想です。上の猪子社長の言葉を安易に解釈してしまうとたぶんうまく意味がとれないと思うので、全文掲載しているのですが、僕の理解では、コミュニケーション能力によって安易に関係性を形成してしまうと、本当にいい人材やユーザと出会ったときに、すでにいろいろなコネクションが形成されてしまっていて、真っ正面から取り組み関係を構築することが出来なくなることを指しているのではないかと考えました。つまり、自らの沸点を低くしておき、本当に力を持った人とであったときにはじめて沸騰できるようなイメージです。このコミュニケーション能力というもの自体を否定してしまうということがまさにアカギ的常識の裏をついていて底が見えません。

あと、こちらの発言も面白いですね。

猪子 専門性は持ったほうがいい。でも、技術は客観的なものなので、いずれ先進国の優位性はまったくなくなると思っている。そのとき先進国の優位性と言えるものは「文化」のみ。文化は客観的に計れないから、優劣がつきにくい。だから、先に豊かだったほうが優位。「ただ先に豊かだった」という理由で。これからは文化のみが優位性になってくると思う。体で感じることのほうが重要になる。

上の文は僕なりの解釈では「大きな意味でのインターフェースは文化の影響を強く受けるので外注出来ない」ということかと思います。豊かさ、文化といったモノからなるユーザが触れる「大きな意味でのインターフェース」は外注するのが大変難しいものです。全てがインターフェースの固まりであるゲームなどは、アセットの外注はすることができても、主要なゲームデザインは基本的に少数のメンバーが文化、地域性を念頭に行うものです。たまたまそのゲームデザインが世界で通用することはありますが、基本的にゲームデザインが文化に依存していることは間違いありません。豊かさという点で、日本人はすでに3周くらい先を走っているので、その部分を活かすことが重要になるという点は家電やゲーム業界においても共通項のあるアドバイスかなと思いました。

それにしてもチームラボの猪子社長の発言は毎回毎回スゴイです。たぶん、こうやって文章にしてしまっている時点でいろいろな意味が欠落してしまっていると思うので、今度、講演などを聴く機会があったら、是非聴講してみようと思います。