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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

Ruby on Railsで有名な37signalsの起業論をまとめた「小さなチーム、大きな仕事」

Ruby on Railsのメイン開発者がいることでも有名な37signalsから起業に関わる本がまた出たということで、早速読んでみました。なんか、今はアマゾンで在庫がないようだが、たぶんすぐに復活すると思います。

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)
小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)黒沢 健二

早川書房 2010-02-25
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なんとなく内容としては、「Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方」に近いのかなー、と思って読み始めました。この本は非常に面白く、また、小規模なソフトウェアベンダーを目指す際に気をつけるべき事が非常に良くまとめられており、目的が「小さなソフトウェアベンダーを作る」ということに非常に最適化された内容です。
Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方
Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方青木 靖

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さて、「小さなチーム、大きな仕事」はどうかというと、ソフトウェアベンダーに内容は特化しておらず、投資家のマネーに頼らない持続可能性を追求した起業に対するアドバイスであり、またそのときに小さなチームが最大の成果を出すためにどのように働くべきかを指南しています。気になった点をピックアップしています。

失敗から学べることが過大評価されている

この本の中では枝葉の部分なので、特に食いつく部分ではないのかもしれないが、やっぱり気になったのが起業において「失敗から学べることはない」という部分。ハーバード・ビジネススクールの調査によると一度起業に成功した人が次も成功する確率は34%だが、過去に失敗した人が次に成功する確率は23%と、今まで失敗しなかった人とあんまり変わらない確率、ということらしい。詳しいデータは書かれていないので、この統計の是非を問うことはできないのだが、「失敗から学べることはない」とまで言い切るのはおもしろい。実際、失敗することで魅力的になっていく人ってあんまり見たことないですし。むしろ、失敗を重ねていき、その失敗をなんとかごまかして、次のお金をかき集めている人をみるとベンチャー業界ではうさんくさくなっていきます。そういう意味で「成功からしか学ぶことはない」っていうのは、日本で起業する人にとってはアメリカよりも力強い言葉なのかも。

成功原理主義がなぜ重要なのか

上の「失敗から学べることはない」とも非常に関連するのですが、その生産性においてもひたすら「小さな勝利、成功を積み重ねる」ことを強調しています。大きなタスクリストを作らず、もし100個のタスクリストがあったら、それを10×10に分割し、一つのリストをクリアすることに集中することで小さな成功を積み重ね、達成感を保つのが生産性を高める秘訣ということです。また、決断をする時も、何か予定を立てるときも大きな決断、大きな予定は立てず、小さな決断、小さな予定を積み重ねることで大きなことを達成するようにすべきだと述べています。
「小さなチーム、大きな仕事」で述べられていることはいろいろあるのですが、この中に僕は「成功原理主義」とでもいうべき、可能な限り失敗せず、成功を連続して積み重ね、モチベーションを保ち続けるか、という姿勢を感じました。起業においてもっともつらいのは成功を達成するまでの道のりをなんとか登り切ることかと思うのですが、その登り切る部分にフォーカスした起業論だと思います。

まとめ

しかし、この本はソフトウェアに特化したことはあまり言っていないので、Ruby on Railsの話は全くと言っていいほど登場しないのですが、そもそもRuby on Railsが自分たちにとってどのような力になったのか、なども語って欲しかったなー、と思います。37signalsの有名な点として週4日勤務で20時間しか働かないという点があると思うのですが、Ruby on Railsのネームバリューっていうのが、このあたりに密接に関わってきていると思うんですよね。このあたりの実情も踏まえた、オープンソースのエンパワーによる生産性とマーケティングについても興味がある人はいっぱいいると思うので、是非次回作に期待したいところです。興味ある人は、原著の「rework」のサイトなどもどうぞ。