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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

2010年3月期任天堂決算説明会のテキストと質疑応答を読み解く

2010年3月期任天堂決算説明会のテキストと質疑応答が公開されています。

任天堂の決算説明会のテキストと質疑応答は非常におもしろいので、特にコンテンツ業界の人にはぜひ読んで欲しいのですが、僕も全部読んだ上で自分なりに気になった部分をまとめてみたいと思います。関連書籍も紹介しておきます。

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2010年3月期の決算はどうだったのか

売上高の現象が前期と比較して22%減の1兆4,343億円とかなりの減少を見せた決算ですが、まずこのあたりが気になる人がおおいのではないのでしょうか。Wiiの失速、DSの海賊版コピー問題がこの失速の原因という人が多いのですが、正直コンテンツ業界における売上高は2年くらいかけて仕込んだ大作をどのタイミングで発売するかで大きく左右されるため、あんまり売上高の減少は問題にする必要はないかと思います。たとえば、来年度の売上に計上するため4月に大作をもってきたり、なんとか3月に間に合わせるというのもよくあることです。それよりも、引き続き営業利益率24%という驚異的な数字が維持されていることに注目すべきでしょう。2011年度も引き続きこの利益率が維持できるという業績予想がされており、決算的には超優良企業でしょう。以下の岩田社長の言葉などはまさしく実感なんじゃないでしょうか。

今朝の新聞に見出しで、「Wiiハードが限界」とか「不調」とか書いてあったのですが、年間2,000万台というのはそれなりに高いハードルだと思っており、それを実現しても「不調」と言われるのは「大変だなあ」と思ってしまいます。

Nintendo 3DSの発表時期について

まず、非常に興味深いのが発表時期に関する岩田社長の質疑応答での回答。

まず、「なぜ3DSはこの時期に発表なのか」、3月23日に突然リリース1枚が出て発表されたことについて、違和感をお持ちになったり、「なぜだろう」とお思いになったり、いろいろ理由を考えられたりしている方が多くいらっしゃるようだと、広報やIRの担当者から聞いておりますので、その背景から少しお話ししておきます。
E3で3DSをお見せしたいと考えましたが、その時に、任天堂しかソフトを作っていないというのは、いかがなものかと考えました。そうすると、ハードの肝になる機能については社外の方々ともお話ししないといけないわけです。しかし、私たちの経験では、情報の共有範囲を広げていくと、どうしてもうわさも広まってしまうのです。すると、私たちのコントロールできない形で情報が広がっていきやすくなります。DSからDSi、DSi LLに展開した時は、パッケージソフトの基本構造は変わりませんでしたから、早くから情報の共有範囲を広げないといけないという事情はあまりなかったのですが、今回は3DS用の新しいソフトを作らねばなりませんので、その意味で早めの情報共有が必要でしたし、しかも、今年のE3に出掛けるべきか否かとお考えの皆さんにとって、「新しいハードの発表があるなら行こうか」という方に早めに判断していただかないといけないという事情もありました。そういったいくつかの事情を考えると、これ以上引っ張るわけにはいかないだろうというタイミングが、あの3月の後半だったということです。

結構、どうしてこの時期に3DSの発表をしたのか不思議に思っている人も多いと思うのですが、いらない噂を避け、いらない守秘義務の負担を避けるためというのはかなりわかりやすい理由かと思います。3D液晶の方も発表するタイミングでもありましたし。
Wiiと異なりDSにとって他のゲーム会社は売上を支える大事な要素だったので、その成功体験をそのまま継続させるためにも他のゲーム会社への配慮を忘れないという姿勢を見せる必要もあったのではないかと思います。というのも、iPhoneやソーシャルゲームの隆盛を考えると、この過去の成功体験を以下に継続するかというのが、これからのゲーム機にとっては非常に重要だと思います。立ち上げ時のソフト不足など露呈すると、過去のハードウェアがオミットされる形でアプリ開発環境が継続するiPhoneやソーシャルゲームと比較し、不利な期間ができてしまうからです。今後のゲーム専用機にとって携帯、据え置き問わず過去との継続性というのはリスクマネージメント的に重要な要素だと思います。

なせ3Dなのか

また、多くの人が疑問に思っていた、どうして3Dなのかという問には以下の回答をしています。

まず、「3Dの提案はヘビーユーザー寄りではないか」というお考えのようですが、私にはそうおっしゃる根拠が分かりません。任天堂がビデオゲームを提案する時、基本的に今私たちは「ゲーム人口拡大」を掲げて、5歳から95歳の人が楽しめるようにと考えてソフトを作るわけですから、当然私たちが作るソフトは、幅広く、年齢も性別もゲーム経験も問わないようなものを必ず主軸の一つに据えることになると思いますので、私たちは「3Dはヘビーユーザー寄りだ」とは決して考えていません。ただし、こればかりは、「なるほど、こう使うと確かに誰でも遊べる3Dのゲームですね」というものを見ていただかない限り、納得はいただけないような気もいたしますので、これは将来、具体的にものをお見せできる時にご判断いただければと思います。

これは結構ゲーム業界的には常識かもしれないのですが、任天堂という企業は極論で行ってしまえば「マリオとポケモンをどのように売るかを探求する企業」なわけです。売り上げ的には充分にこれで今の会社を維持することができる。で、その安定した売上で他のチャレンジをするわけですが、このチャレンジの部分で岩田社長と宮本茂専務という目利きがヒット率を支えてる訳です。
そう考えるとこのDS、Wiiで行ったコントローラ系の操作体系の刷新と比較して、3Dというのはソフト開発のノウハウを活かしつつあらたな面白さを提示できるかなり的確な題材だと思います。特にマリオとポケモンには非常に相性がいいと思われます。僕は3Dという選択を聞いてかなりクレーバーだなーと思いました

まとめ

2010年3月期任天堂決算説明会のテキストと質疑応答から気になって点をピックアップしてみました。長くなりましたが、まだまだ海賊版問題など気になった点もあったので、そのあたりは機会を見つけて取り上げたいと思います。