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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

Firefoxのバージョンポリシーの変更について考える

Firefoxがバージョン付のポリシーを大幅に変更して「Firefox 6の提供は8週間後になる予定で、その後は6週間おきに新バージョンがリリースされる」というポリシーに変更した。順調にいけば、年内にFirefoxはFirefox 10に到達する可能性がある。このポリシー変更に関しては以下の公式FAQが詳しい

特に以下が今回のポリシー変更の理由である。

なぜリリースサイクルを短縮するのですか?
Web ブラウザは、他のアプリケーションと異なり、Web という「生き物」を相手にしています。HTML5 や CSS3 など新たな標準技術が次々に考案され、ソーシャルメディアなどのトレンドも目まぐるしく変わっています。Web の進化するスピードが速くなっているので、これまでのように半年から 1 年周期のアップデートでは間に合わなくなっているのです。

新しいリリースサイクルはこれまでとどう違うのですか?
これまでは、予定していた多数の新機能と改良点が完成してから新しいメジャーアップデートを発表していました。文字通り大型のアップデートとして大きな話題となる一方で、すべての機能が完成するまでに長い時間がかかっていました。また、セキュリティ修正を含むマイナーアップデートの公開が不定期で分かりづらいという指摘もありました。

こうした状況を改善するため、Firefox 5 以降は、より迅速かつ定期的に、新機能や高速化、セキュリティ・安定性の改善を盛り込んだ新バージョンを公開していきます。

個人的にはこの方針変更はほぼ必然と考える。メジャーバージョンを上げるタイミングで大きな変更を入れるという現在のポリシーでは半年、一年周期のメジャーバージョンアップではもうWebの変化に耐えられないという指摘はまことに正しい。例えば、Chromeのバージョンはすでに12である。Chromeはほぼ自動的に更新が行われるのでほとんどの人はバージョンなど意識していないと思うが。
メジャーバージョンを上げないことの利点としてある程度ゆったりしたバージョンアップを企業が喜ぶという利点がある。それは急激なバージョンアップはサポートコストが上昇するからだ。この点に関しては以下の記事がまさに企業の言い分を示している。

このブログに、社内で50万人がFirefox 3.6を利用しているという大手企業のジョン・バリキ氏がコメント。同氏の会社は数千の社内アプリについてFirefox 4のテストサイクルを済ませ、7〜9月期にFirefox 4.01を導入しようとしていたところだったと打ち明けた。ところがFirefox 4のサポートが打ち切られたため、「未修正の脆弱性があるかもしれないFirefox 4を導入するか、何千もの社内アプリのテストサイクルをリセットしてFirefox 5を有効にするか、あるいはFirefox 5を有効にするまでパッチが当てられたFirefox 3.6.xにとどまるかという悲惨な選択を迫られている」という。

だけど待って欲しい。FirefoxはMozilla Foundationが指揮を取るとはいえ基本はコミュニティをベースとしたオープンソースソフトウェアなのだ。現在、Chromeという最強のライバルが登場したことでFirefoxの地位は確実に低下している。ここで、FirefoxはChromeに負けないブラウザとしての地位を維持するために、大幅な機能拡張を迅速に行える体制に変更する必要があるのだ。そうでなければオープンソースコミュニティの訴求力は薄れ、AppleとGoogle社員が舵をとるWebKit陣営、その中でもGoogleという強力なバックエンドを備えるChromeの進化スピードには対抗できない。Firefoxにとって、企業サポートより、現在の開発体制をChromeとのガチの勝負に備えるように舵を切るのは当然と言える。
あと、大規模ソフトウェアを開発している人ならわかると思うが、メジャーバージョンの価値を下げてくれたほうが開発はしやすい。メジャーバージョンのリリースサイクルが長いとそこで何か失敗が発生すると数ヶ月はその方向性に取り返しがつかないことがおきるが、実際ソフトウェアはリリースしてみないと特にUIなどはユーザーの反応がわからないものだからリリースサイクルを短くしてユーザーのフィードバックを取り入れた方がいいものになるのだ。それは単純に1年で一回しかメジャーバージョンを変えることができないソフトウェアと一年で10回メジャーバージョンアップチャンスがあるソフトウェアのどちらが開発しやすいかを考えれば直感的に理解できるとおもう。また、メジャーバージョンとマイナーバージョンアップといったバージョンアップに濃度差をつけるやり方もよくない。この機能はメジャーバージョンアップで、この機能はマイナーバージョンアップで、という決定を行うディスカッション自体がコストになる。
というわけで、今回のFirefoxのポリシー変更はほぼ必然でむしろちょっと遅かったのではないかと思うのだが、ブラウザがChrome一色になってしまうのもつまらないので、是非是非Firefoxの今後の頑張りに期待したい。(まわりがあまりにもChrome一色なので)