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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

「製造業は新入社員の仕事」じゃないの続き

いろいろレスポンスを見てると、どうもよくわからないことを言う人が多いのだが、改めて考えると、ファブレスモデルという基本的な事柄を説明していないのが原因の気がしてきた。

ファブレスモデルとは

ファブレスモデルとは何かというと、その名前の通り、ファブ(工場)を持たずに、設計やサービス設計だけを行い、生産は生産を専門とする企業に委託してしまうこと。前のエントリーで述べたフォックスコンやアスースなどがその生産をする側の代表格で、フォックスコンがiPhoneの製造を行っていることで有名だったりする。

どうして、ファブレスモデルが増えつつあるかというと、CPU製造メーカーのAMDのモデルを考えるとわかりやすい。AMDはいままでこだわっていた自社生産を2008年に製造部門と研究開発部門を分離してファブレスモデルに切り替えた。AMDから分社化して生まれたがグローバルファウンドリーズである。

これはどうしてかというと、近年の半導体のプロセスの微細化のスピードが凄まじいが、プロセスが微細化するほど工場への多額の出資が必要になってきたため。分社前のAMDの後期はこの工場への多額の出資が足かせになり、研究開発部門への出資が削減されるなど、本末転倒なことが起きていた。
ただ、高度な技術が必要になるに従い、工場への多額の出資が必要となることはどこも同じ。となると、生産側は生産側で作成した工場をフルに回したいという願望が出てくる。ただ、残念ながら、研究開発部門への出資が工場建設への出資で削減されると市場競争力のある製品を作ることができない。このジレンマを何とかするには、生産側と研究開発側を切り離して、生産側は他のメーカーの製品でもなんでも良いので、工場を目一杯に回す。例えば、グローバルファウンドリーズは現在はAMDのCPUではなくARMの生産の方がスマートフォンの関係で多い。製品開発側は工場側への製品発注スパンなどを考えることなく研究開発に集中できる。
もちろん、ファブレスモデルでは対処できないパターンもあり、現状ファブレスモデルをとっていないのは、如何のようなケースが多い。

  • 製造に非常に高度かつ独占的な技術が必要でその技術を流出させたくない
  • 製造と研究開発部門が一体化していないと製品開発がうまくできない
  • プロユースの製造量はすくないが異常に単価の高い製品を作っている

逆にこれ以外のメーカーではファブレスモデルが主流になってきている。

振り返ってみて製造業とはなんなのか?

で、改めて振り返ると製造業とはこの研究開発部門と生産部門のどちらなのだろうか?
括りとしては、当然両方なのだろうが、なんとなく生産部門側を差している人が多いような気がする。つまり、日本に工場があって、そこで作ってなんぼということだ。
これは雇用という面ではまさにその通りで、やはり工場がないと特に地方の雇用は支え切れない現実がある。なので、アメリカでは現地に工場を作るメーカーは外資でも非常に優遇される。逆に現地に工場をつくらない自国の企業は結構どうでも良いと思っている地域もある。
雇用の拡大が政治的にも重要課題であることを考えるとそのとおりなのだが、現実的には生産に特化した企業の圧倒的なスケールメリットにはなかなか自社工場は勝てない。現実的な路線として、ファブレスモデルを活用しつつ、自社工場を抱え、そこで研究開発と一体化した超付加価値プロダクトを生産するというのが、日本メーカーの現状の戦略だし、逆にそれでも為替安のために輸出が圧倒的に不利なので、日本から研究開発部門も脱出させようとする動きもちらほら見え始めている現実がある。それでも日本の雇用にこだわる某大手企業などを見ると、逆にすごいなーと思う。