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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

auが通知バーへの情報配信を自粛したことに関する考察

auがAndroid搭載スマートフォンの通知バーへの情報配信を自粛しました。

KDDIによると、そもそもあれは広告ではなく、あくまで「有用な情報」という位置づけだったようです。

KDDIの新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部 オープンプラットフォームビジネス部長の鴨志田博礼氏は、通知バーへの情報配信の意図について、「我々としては、通知バーを使ってユーザーに対して有益な情報を配信しようという試みから、アプリのバージョンアップを実施した」と語る。

また、ターゲット広告に関しても利用許諾には含まれていたものの実際には行なっていないということでした。

今回のバージョンアップでは、通知バーへの販促情報の配信とともに、ターゲティング広告に関する許諾もユーザーに求められていた。一部のブログやネットコミュニティでのユーザーの投稿などでは、通知バーに配信された情報がターゲティング広告であるとするコメントも見られた。
しかし、KDDIではこれを否定している。属性ターゲット情報は性別や年齢、居住地の情報を使った広告の許諾を求めたもので、行動ターゲット情報は有料アプリの購入状況を広告に反映させる許諾を求めたものだが、スマートフォンではいずれも提供はされていないという。

このあたりの事実をベースに通知バーへの情報配信についてもう一度考えてみたいと思います。

ユーザーの強いノーがキャリアを動かしたという事実が残った

まず、KDDI側の見解としては、あくまで広告配信ではなく有用な情報提供であり、今後もどのような形が良いかを検討するとのことですが、販売チャネルとしてまだ通知バーへの情報配信を考えているのであればそれは止めたほうが良いと思います。前のエントリーで書いた通り、例えば他に同じ事をするアプリが10個あったらもう通知バーは使い物にならなくなり、アンドロイドのUX(ユーザーエクスペリエンス)自体が崩壊します。

キャリアという絶対的に強い立場を利用してこのような行為を行うことは、KDDIにとってみても長期的にあまり良い結果には繋がりません。そもそも「有益な情報を配信しようとした」という見解を鵜呑みにするのは難しいです。なぜならあれは間違いなく一般的には「広告」に分類されるものでしたから。
本件に関して言えば、多くのユーザーの声からKDDIが情報配信の機能を自粛した形になったわけですが、このようにユーザーの強いノーがキャリアを動かしたという事実は、今後のキャリアの行動を考える上でも参考になる事例になったと思います。今後もユーザーにとって不利益と思われる仕様が採用された場合はきちんとノーをユーザー自身が叫ぶことが重要でしょう。

auが強い販売チャネルを持つ方法

上記のケータイWatchの記事に書かれている、キャリアがガラケーの時に存在した「au one(EZweb)」のような強い販売チャネルが欲しいという気持ちはわかります。

フィーチャーフォンには「au one(EZweb)」という強力な導線があり、広告での収益を見込みやすい。反面、スマートフォンはオープンな環境が1つのウリになっており、KDDIも新たなキャッチコピーにする「自由」の占める割合が大きい。KDDIでは、アドネットワークなどを利用してスマートフォンでの広告面での収益を上げていきたい考えで、鴨志田氏は「きちんと広告とわかるような配慮をする」と話した。

ただ、それをしたいなら自分たちでプラットフォームを抱えないとだめなんです。システムに違和感なく決済システムを組み込めるのは、iOS然りプラットフォーム提供側の権利なのです。Androidはこのあたりも非常にフレキシブルにできているので、Kindle FireのようにAmazonの決済システムをデフォルトで動作するようにできます。Kindle Fireの見た目は全くAndroidには見えません。

ただ、そのような自分たちのプラットフォームとして再設計を行うことなく、既存のAndroidの枠組みを利用したまま、強い販売チャネルだけが欲しいというのは、Androidの設計思想上どのような形で実装しようとしてもユーザーの理解を得られることはないと思います。必ずUXの毀損につながるので。
失敗するリスクを取り、自分たちでプラットフォームを抱える決意をした企業だけが強い販売チャネルをもてるのです。なので、もしそのような販売チャネルが欲しいのであれば、Androidというプラットフォーム自体の再定義を行う決意がauに必要になります。auはすでにアプリやサービスをパッケージ化して提供する月額制のコンテンツサービス「auスマートパス」を発表してますが、このサービスがどのくらいAndroidというプラットフォームの再定義に踏み込むかどうかがポイントになってくると思います。

まとめ

auの通知バーへの情報配信を自粛に関して考察しました。ご意見、ご感想などもしあれば、Twitterやっているので、@gamellaに送っていただければ。