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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

インドで学ぶ大学生のライフスタイル

みんなでライフスタイル

以下のスタートした「みんなでライフスタイル」プロジェクトの第4弾です。

まとめサイトはこちら。

今回、回答いただいたのは、インドの大学に通う@yukanonさんです。大成長が見込まれるインドに興味を持っている人も多いのではないかと思いますので、参考になる人も多いのではないかと思います。

簡単な自己紹介と海外に移住した理由を教えて下さい。

はじめまして、 @yukanon と言います。インドに来る前は日本でIT系のスモールビジネスをしていました。その過程で、似たような商品・サービスを提供する企業がひしめきあう成熟した国内マーケットより開拓余地がありダイナミックな市場を持つ新興国でのビジネスに興味が移っていき、取締役に無理を言って代表を譲り、一年半ほど前からインドに学生として滞在しています。
新興国の中でインドを選んだ理由はいくつかあるのですが(民主義国家であること、英語が通用する等)一番の理由としては、「経済成長の予測に比例せず、他国と比べ日本企業・日本人の数が圧倒的に少ない」ことでしょうか。(インドの在留邦人の数は現在4000人程です。これに対し中国の在留邦人の数は約12万人。インドGDPは2015年に日本を、2040年に米国を上回るとの予測があるにもかかわらずです。)
これといった特殊スキルを持っていない自分にとって日本人であること以外に優位性がないと感じていたので、そういう決断の仕方をしました。人が選ばない道を選ぶことがビジネスの成功確率をあげることに繋がるのではないか、と思うからです。
そして私は一見するとかなり遠回りな学生としてインドの生活をスタートすることにしました。長期的な視点で考えた場合はその方が確実によいのではと思ったからです。ビジネスを英語で学べることができるのはもちろんのこと、若いインド人学生と一緒に寝食共にすることでインドの文化・生活・思想を垣間見ることができるというのが大きな理由としてあります。そういう面倒な過程を経験してこそ、インドという癖のあるマーケットでビジネスにいきる分析力や直感力や養われるのではと思うのです。
卒業後は就職するか自分自身でまた何かをはじめるか決めてはいませんが、「ビジネスを通して人々の生活と社会に貢献する」という私のビジョンを明確にするような場所に身を置きたいと思っています。

@yukanonさんとは、@yukanonさんが日本にいたころから知り合いで、インドに行くと聞いた時に、ものすごく驚いたのですが、すごく納得しました。ちょうどそのころ攻殻機動隊SACで有名な神山監督が作った「東のエデン」というアニメが僕と@kosukさんと@yukanonさんの間で流行っていて、その映画を一緒に見た後、インドに行くという話を聞いてびっくりしたのを覚えています。
インドという日本人が少ないところに、あえて学生という遠回りな道を行くという逆張りと軽快なフットワークが@yukanonさんのすごいところですね。正直、今まで聞いた海外移住のなかでも一番男前な理由だと思います。

現地に移住してみてはじめて気づいた、日本で制度的、文化的な理由によりライフスタイルが縛られていることがあったら教えて下さい。

実は私は雇われた経験がこれまでないので、日本でもライフスタイルが縛られていると感じたことがほぼないのです。インドでもまだ学生なので自由な身です。なので、これは国家間で比較ができずごめんなさい。"

ベンチャー企業を経営していると、そういう日本のしがらみに逆に直面しそうな気がするんですが、そうでもないんですねー。

日本では達成することができなかった、現地に行って良かったと思われる点、海外生活の楽しい点などがあったら教えて下さい。

インドに来て得られたなぁと思うのは、ぱっと思いつくだけで3点ほど。以下箇条書きです。

  • 英語力(インド英語)

インドの英語は訛りが強いですが、日本で中途半端に勉強するよりずっと英語力がつくと断言できます。またインド英語の早さに慣れると、英米のネイティブの英語のスピードにも臆病でなくなります。それからインドでしか使われない独自の英単語というのもあるので(例えば10万をlakh、1000万をcroreとします)インドでビジネスをしたいという場合に、インドで事前に学ぶというのはよい選択肢だと思いました。

  • ハングリー精神

ハングリー精神というのは外的環境から得られるものだと気づきました。1秒たりとも時間を無駄にしないよう教科書を読みながら歩いている学生や、家族の生活を少しでも楽にしようと仕事をしながら学業も両立する友人、そしてあらゆる場所で見かける、望んでも学問を受けられない物乞いの子供たち。そんな環境にいるだけで不思議と自分の中の甘い考えや行動が是正されるように思います。

  • 環境適応力

衛生・生活環境が悪くインフラ整備が十分でない場所で生活することに、最初は戸惑いや苛立ちを感じていましたが、慣れるとそういった感情はすぐになくなりました。具体的には、頻繁な停電・一時断水・煩雑なお役所手続き・インフラ未発達から起こる交通渋滞・人や交通機関の時間に対する大幅な遅延などです。

これは確かにインドに行かないと感じないこと、わからないことが多いですね。これって、まるまる日本に今ないものの3つのリストのような気がします。そして、成熟した先進国ではなかなか直面しない問題でもあり、このような事情を把握していないと、インドでの直感力が働かないという意味で、学生として生活してみるというのは確かに遠回りのようで、実は王道なのかもしれません。

逆にここは日本の方が良かったという点、現地だとこれは達成できないだろうなと思われる点があったら教えて下さい。

「現在」現地より日本にいた方がよいことは特に思いつかないのですが、「これまで」現地ではなく日本にいてよかったこととしては、世界トップレベルの商品やサービスの質を見て生まれ育ったということでしょうか。それを基準とし現地の生活やビジネスを相対的に見ることができますので。(時にそれは脅威とも成り得えますが、基本はメリットが大きいかと。)
例えば、折り畳み傘が日本製に比べるとびっくりするほど重いし黒と紺とか地味な色しかないなぁとか、購入したばかりの服が洗濯すると色落ちがひどいし物凄く縮むなぁとか、そういう小さな話ばかりなのですがインドに来なければそういう「身の回りのごく普通の日本の商品の優位性」に気づかなかったなぁと。
何が言いたいかと言うと、日本の優れた製品というと自動車やハイテク機器などの話になりがちですが、インドのような途上国ならほとんどの製品やサービスは日本の方が優れています。ビジネスをはじめる前にまとまった期間を現地で現地人と一緒に過ごし、そういうものが垣間見れたのはよかったなぁと思いますし、その経験が今後生かせればと期待しています。"

日本の過剰品質、過剰サービスを語る人がいますが、エマージェンシーマーケットで、ではどのくらいの品質、サービスが適当かを考える上で、日本のトップレベルの質を体験しているというメリットは実は多くの人が述べていますね。特に日本は閉じこもれば閉じこもるほど文化が成熟するのは江戸時代からの伝統みたいなものですから、では日本で過剰ではない品質、突き抜けた部分はどこなのかをということを考えるのは、例えば海外旅行に言ってもおもしろいトピックだと思っています。
私事ですが、先日サンフランシスコに行って感じたのは、日本の都市、特に東京と他の都市の一番の違いって電車の便利さだなーと思いました。ほとんど無制限に拡張し続ける東京という大都市ですが、これって車を持たなくても生活を維持できる圧倒的な電車インフラに完全に依存しているのだなーと。こういう大きい部分から、小さい部分までいろいろ違いがわかってくると、おもしろいなーと思います。

日本と現地でライフスタイルの多様性を実現する上で大きな違いとなっているもの、日本では導入されればいいと思っている具体的な事例があったら教えて下さい。

確実に批判がでそうな意見ではありますが、「英語を日本の公用語に加える」というのは個人的にありではないかと思っています。
例えばインドでは方言を含め800以上の言語があると言われています。日本人には想像がつきにくいと思いますがインド人同士の会話でもお互いの母語が異なれば、公用語のヒンディー語か英語を話す必要がでてきます。
私がこちらで学生を始めたばかりのころ、マリヤラム語を母語とする2人のクラスメートが会話をしていたところへ、マリヤラム語が話せない別の子が来た途端2人がヒンディー語に言語を変え、その後さらにヒンディー語が苦手な別の子が加わると、他の3人が英語に切りかえるという現場を目の当たりにし愕然としました。
ちなみにインド人のすべての人が英語が話せる訳ではなく、全人口12億人の10分の1程度と聞いたことがあります。それでも若い人を中心に英語に抵抗がないという事実は、海外の有名大学へのインド人留学生を増加させ、海外で働くインド人ビジネスマンを増やし、最終的に彼ら彼女らが生んだお金はインドに戻ってくるのです。

例えばハイテク企業は言わずもがな、他にもアメリカの医師の38%、NASAの科学者の36%がインド人らしいです。それら海外に点在するインド人が母国へ送金する金額は年間550億ドル(2010年)にまでのぼります。(インドは世界最大の海外送金受け入れ国です)一方日本人は言語が壁となり、個人でも企業でも国際化を阻害されてしまっていることは確実です。

またあまり知られていない事実ですがインドには海外からの留学生が意外と多くいます。私の大学にも多く海外留学生がいるのですが、その大半がアジア・中東・アフリカ系です(逆に欧米系はまったくいません)。その留学生達がなぜインドに留学しに来るかというと、本当は英国・米国に留学したいがビザや資金の問題があるので、安価で英語で学べる環境を望んでくるのです。
優秀な海外留学生を受け入れることは、長期的に国益に繋がります。日本の大学に留学したいけれど、日本語で断念する海外の学生は非常に多いのではと思います。確実に機会損失です。確かに英語を日本の公用語に加えることのデメリットもあるかもしれませんが、メリットの方が格段にあるのではと個人的に思うのですが。
…とはいえ国単位では正直まったく現実味がありませんので、この辺までとしますが楽天やユニクロを中心に大手企業が社内公用語を英語化、というのは非常にいい流れだと思いますしそれらが成功事例となってどんどん他の会社にも広がり、英語力の必然性が社会全体に広がればよいなぁと思います。

インド事情の話が圧倒的におもしろいですが、すでにある程度大きな多国籍企業にいたら英語がないと仕事にならないのは日本でも普通の感覚になっているとは思います。エンジニアでも英語の仕様書読める、読めないで大きく仕事の幅が変わってくるだろうし。
ただ、以前のアンケートで書いたのですが、日本人が日本語で行なっているコミュニケーションって良くも悪くも「空気を読む」という点において非常に濃密なものなのですが、このコミュニケーションってあるていどなくなってもいいのではないかと思うんですよね。コミュニケーションが可能という点があるから、空気に従うことを強要する側面もあると思いますし、そういう意味では高等教育の選択肢として英語があるというのはありだと思います。そして、実際にそういう大学はICUを始めいくつかあるはずです。
日本語は高等教育を行える数少ない言語ですので、別に全てを英語にしろというわけではないのですが、大学という場でそういう取り組みがもっと積極的に行われてもいいんではないかと思います。ただ、日本の大学のレベルでそれが行える場所がどれくらいあるかというと、かなり数は限定されると思いますが。

まとめ

インドで大学に通う@yukanonさんのアンケートを紹介しました。個人的に@yukanonさんがインドに行った理由とかもわかっておもしろかったです。こういうことにチャレンジしている人がいるというだけで、勇気づけられたり、同じようなチャレンジをしてみたいと思う人もおおいのではないかと思います。
ご意見、ご感想などもしあれば、Twitterやっているので、@gamellaに送っていただければ。あと、よろしければ海外在住の方は以下のアンケートにお応えください。