読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

スマートフォンとタブレットとノートパソコンのキープレイヤー各社の戦略

MSの戦略的商品Surfaceの発売が迫ってきており、iPad、Nexus7、Surface、Kindle FireとぞれぞれApple、Google、MS、Amazonのタブレットが出揃った。

Surfaceの登場によりキープレイヤーのアイテムがすべて揃った

このSurfaceの価格が199ドルになるのではないか、という噂が広がっている。MSがハードウェアとOSをセットでタブレットを売るという決定をした場合、MSとPCベンダーの間では以下の差がある。

  • OS提供者がハードウェアを提供するという圧倒的なオフィシャル感
  • 優秀なR&DチームによりOSを自分の都合の良い方向に発展することができる
  • ハードウェア側に不具合があってもソフトウェア側で回避できる
  • MSの資金力とスケールメリット、さらにMSは価格を下げてでもタブレットを売りたいモチベーションがある

上記は他のPCベンダーがWindowsのタブレット端末を発売しないのに十分な理由であり、これまでのMSとPCベンダーの関係を壊すのに十分な理由だ。ただ、それでもMSがタブレットを自分で発売しなければいけない理由があるのは、皆様もご存知の通り。それは、ユーザがリビングにいてくつろぐ時間、自分の部屋にいて作業をする時間、出かけている時に情報をチェックする時間、電車にのっている時にゲームをしたい時間などなどの各時間・場所・目的ごとに、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンの3つデバイスがフィットする時間が異なっており、この3つでそれぞれ統一したUIとコンテンツ管理を行うプラットフォームを提供することこそがOSベンダーの未来を決めることがわかっているからだ。
スマートフォンに関してはAppleとGoogleが激しい戦いを繰り広げている。シェアに関してはGoogleがリードしているが、利益や統合力ではAppleが有利だ。
タブレットに関してはAppleが圧倒的に有利な位置にある。これに対抗するため、Google、Amazonは格安でデバイスを提供しなければいけない状態にあり、Nexus7やKindle Fireを200ドル以下で提供している。ここにSurfaceが入ってくるわけだから、Surfaceも200ドル以下になるのではないか、というのは当然の予測である。実際に高くても249ドル程度なのではないかと思う。
ノートパソコンは過去の経緯からもMSが有利だったが、スマートフォン、タブレットとおなじUIやプラットフォームを利用したいという理由からMacBookの販売も非常に好調である。実際、僕もMacBook Airを利用し始めたし、Windowsと比較してUIとプラットフォームの統一感という点ではかなり優れている。

各社の戦略と今後の動き

さて、現在の状態を俯瞰してみたが、ここで今後、どのような動きが起きるかを簡単に考えてみたい。
まず、MSの動きから考えてみると、MSのタブレット(Win8タブレットではなくWinRTタブレットの方)は将来的にはその一台でいままでノートパソコンがカバーしてきた領域ごと、ユーザーを取得するつもりだろう。通常のPCを構成で動かすWIn8タブレットとARM上で動作するWinRTタブレットはきちんと区別する必要がある。

PCを作るときに最も大きいコスト要因となるのがインテルが抑えているX86系CPUと構造上安くするのが難しいHDDだが、タブレットはこの2つを利用しなくてもよいという点でコスト的に圧倒的に有利である。さらに、今一番のテクノロジードライバーであるスマートフォンの技術的進歩をそのまま利用することが可能なので、今後も価格低下、パフォーマンスの向上が期待できる。今までWindows PCを普通に買っていた人々が、そのまま価格的優位性によりWindowsタブレットを選択するようになってくることを狙っているはずだ。この動きはこれまでのPCをベンダーにとっては自分たちのビジネスを破壊する行為そのものなので、今までPC業界でMSと一緒にビジネスを展開してきたPCベンダー各社が不安を表明している。

とは言え、放っておくとAppleがMSの現在の市場を荒らしまくるのは目に見えているので、上記のような戦略を取る必要がある。
Appleの戦略は極めて明確だ。スマートフォンとタブレットをしっかり抑えつつ、より大きいサイズのスマートフォンとより小さなサイズのタブレットをラインナップして、ユーザの需要を全方位的に抑えようとしている。

個人的にはスマートフォンは3.5インチ、4インチ、4.5インチくらいにそれぞれ細かな需要があり、タブレットにも7インチ、8.5インチ、10インチくらいにそれぞれ細かな需要があると思っているので、現在のラインナップからより細かくユーザのニーズに応える形でラインナップを拡充していくのは、現在トップを走る王者として、物量的に他社ができないことをまずするという戦略として圧倒的に正しい。ジョブズの不在により、よりオーソドックスな戦略を取っていこうという姿勢は非常に手堅く感じる。また、おもしろいのはノートパソコンをよりプロユースのツールとして再定義しようという動きであり、特にRatineディスプレイを搭載したMacBook Proは、ノートパソコンの役割自体を拡充したいという強い意志を感じる。この領域は、現在、他のキープレイヤーがあまり積極的におこなっていない部分だが、かなり面白い動きであると思う。
Googleの戦略は面白い。Googleは売り上げ的には広告企業であり、今一番やらなければいけないことは自分の広告事業をさらに広げ、Webに接続するインターフェースとしてGoogleが提供する検索などのサービスを利用してもらうようにすることである。なので、デバイスで利益を上げるというよりはユーザーの入り口としてのAndroidを広げることが第一目的であり、そういう意味でNexus7を出したのは、このままだとタブレット市場が主に価格的にAppleとMSに抑えられてしまうことが明白だったからだ。なので、自分で格安で質の良いタブレットを提供する必要があった。今後の戦略としても、自分たちで市場を切り開くというよりは、市場が発生しそうなところに時にはデバイス、時にはOS、時にはWebサービスで最適なものを投下して、Webへ形のインターフェースとしてGoogleを利用してもらうようにし続けることが重要であり、おそらくFacebookとの戦いが一番厳しいものになる。
最後にAmazonだが、Amazonの戦略もシンプルで、コンテンツビューアとして適切な形でKindleを提供することだ。スマートフォンにはKindleアプリ、タブレットは自社デバイスなどそれぞれ最適なものを提供しており、そういう意味ではGoogleと目的は似ている。Googleと違うのはより積極的にタブレット市場を抑えようとしているポイントであり、将来的にコンテンツビューアの一番の市場はタブレットになると想定しているのだと考えられる。

まとめ

というわけで、Surfaceの登場と今後のキープレイヤーの動きについて考えてみた。この業界は非常に動きが早いので、ここに書かれた現状認識もすぐに陳腐化すると思うが、今後も定期的にチェックしていきたいと思う。