書店を歩いていたところ、瀧本哲史さんの「君に友だちはいらない」が発売されていたので、チームビルディングネタが好きな自分としては購入。早速読んでみた。本当はKindleで欲しかったけど。
ただ、取っ掛かり以上のことを期待すると、チームで共有すべき方法論については、まぁ、お世辞にもまともな手法が書いているとは言えない。特に「ビジョン」を作る部分で、神話の構成の話が書かれており、チームで共有すべきビジョンに関する、ストーリーというのを指輪物語やスター・ウォーズの話の構成をベースに解説にしているのだが、ビジョンをストーリーから逆算して作れる才能って、もうそれだけで外れ値なのでは、と思う。
つまり、本でいうところの3章に当たる「ビジョン」をどうするかの部分の内容が極端に薄い。「ビジョン」をどのように扱うかについては、リーンスタートアップのようなビジョンをベースにどのようなアプローチを取るべきかがある程度研究されているので、そちらの方向の本も一度読んでおくのが良いかも、と思う。ただ、筆者も100人がこの本読んだら、1人でも道をいい意味で踏み外してくれれば良い、くらいの気持ちで書いていると思うので、細かいことは言わずに楽しみたい。そういう意味では、中身の傾向としては、「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」に似ており、そこにチームづくりの重要性を加味したものと考えると本のイメージが湧きやすいかも。
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ティナ・シーリグ
この「コントロールできる」と「コントロールのできない」のバランスを間違えると、プロジェクトはすぐにストップするし、チーム間で不満はたまるし、最終的に簡単に崩壊する。つまり、プロジェクトにとってコアな部分を「コントロールできる」ことに置きつつ、スケールさせたい部分を「コントロールできない」ことにする。このバランスをどのように考えるかが、チームアプローチを行う上で重要になってくる。そう考えた時に、この本に記載されている「ビジョン」をメインに考えるアプローチがどれくらい日本で有効なのか、僕自身は結構懐疑的だったりする。ここの部分を詰めないとサクッと失敗すると思うので、チームアプローチはチームアプローチなりの難しさがあり、それは個人でやるとは別のレイヤーの能力が絡んでくることに注意が必要である。
まぁ、そんなわけで、いろいろ読みながら不満点はあったけど、全体で見たら結構おもしろい本だと思いますので、おすすめです。