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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

アイディア自体の価値について考える

以下のエントリーを見て、ちょっともやっとしたので、アイディア自体の価値について考えてみました。

上のエントリー読んでも、特にアイディア自体に価値がない理由を論述していないので、若干フィーリングでタイトル決めた感じがしますが、精度の高いアイディアというのは依然として価値があります。ただ、たしかに、つまらないアイディアをドヤる人もきっといるでしょうから、そういうケースではアイディア自体に価値がないという言説も嘘ではない、と思います。 もう一つ考えられるのは、アイディア自体よりも他の要因が重要すぎて、比率としてアイディアには価値がない、というパターン。上のエントリーはどちらかというとそっちの話なのかな、とおもいます。

とはいえ「価値があるアイディア」というものは存在します。この前提を偽であるという人はさすがにいないでしょう。 では、その「アイディアの価値」とは、どのように判断できるのか。それは「学術論文」のフォーマットをベースに考えるとわかりやすいと思います。 「学術論文」は前提・分析・仮説・検証・結果の考察というフェーズをもちます。それぞれのフェーズにおいて、やるべきことが決まっていますが、学術論文では「前提」の部分が非常に大事です。基本的に科学とは、これまでの膨大の知識の積み重ねの中で、現時点でこのアイディアがどの課題を解決する可能性があるのか、という部分が大きな評価軸ですから、その部分がないがしろにすると、一見どんなに素晴らしいアイディアであっても、長期的に価値を持つことはまれです。

そういうわけで、個人的に価値あるアイディアであるかは次の3つの観点である程度わかるのかなー、と思います。

  • たくさんの先行事例を把握している中から、問題に適切なアイディアを選択している
  • アイディアに先行事例がないことを確認している、またはそのアイディアがうまくいかないことを把握している
  • アイディアの実現可能性・再現性を確認済みである

たくさんの先行事例を把握している中から、問題に適切なアイディアを選択している

これは問題設定に対して既存のアイディアの中から最適なアイディアを適用しているケースです。ある分野で異常に発達した手法が、実は違う分野の問題を解決しているということがよくあり、問題に関する先行事例をきちんと整理していることはそれだけで価値が生まれます。 ただ、元のエントリーで主にターゲットにしていると見られるビジネスレイヤーの話になると、あまりにも多様な要因が絡んでくるため、そのアイディアの成否がアイディア自体の価値ではなく、個人の能力やチームの能力に大きく依存してくるため「アイディアに価値はない」というのが、一見正しく見えてしまう可能性があります。 でも、これって、基本的にアイディアの価値とは無関係な項目であり、例えば実現するのに80の力が必要だったものが、50の力ですむようなアイディアだった場合、チーム力が100であれば、それはどちらでも大きな違いはなく達成可能ですが、本当にぎりぎりのところで110の力が必要な問題を90の力で解決できるようなケースが出てきた場合、それはやはり違いになるわけですから、アイディアを実行するチームの能力は別に評価するべき軸です。

アイディアに先行事例がないことを確認している、またはそのアイディアがうまくいかないことを把握している

たくさん調べても、本当にそのアイディアに先行事例がないことがわかることがあります。多くの場合、このケースは誰かが思いついたのだけど、良い結果が得られなかったので、発表されていないだけ、ということが多いです。つまり、良いアイディアは価値があるので一気に広がりますが、うまくいかなかったアイディアは発表する機会がないため、一般的に認知されません。ソフトウェア・エンジニアリングにおいては、この失敗例・だめなケースの情報の共有は非常に価値がある、という考えをする人が多く、アンチパターンとして広く書籍などで情報共有されています。

この例をみても、ダメなアイディアでさえ、共有する価値があるということがわかります。これもまたアイディアの一つの側面であると思います。

アイディアの実現可能性・再現性・効果を確認済みである

最後に、すでにアイディアの実現可能性・再現性・効果が確認済みであるケースがあります。このアイディアは非常に価値があります。企業にとって、価値のあるアイディアは「特許」という形になることが多く、これは単純に「アイディア」だけでも、相手に同一のビジネスを行われることを防ぐ上で非常に価値があります。

自分たちのビジネスが成功した時点で、そのアイディアをきちんと「特許」にしておき、コンペティターとの競争環境を優位に保つという観点からもアイディア自体を疎かにしてはいけない、ということがわかると思います。