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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

これはすごく難しい本です「ハウスワイフ2.0」書評

最近、「リーンイン」との対比の文脈で「ハウスワイフ2.0」というタイトルを見ることが多くなり、とりあえず興味本位で読んでみました。

アメリカの高学歴女性の間でHousewife(主婦)回帰の動きがある――ニューヨーク・タイムズ紙、ニューヨーカー誌が絶賛。米メディアで論争を呼んだ話題の書!

「私たちは会社に使われない新しい生き方を求めている」――ハーバード、エールなど一流大学を出ていながらせっかく掴んだ投資銀行、広告代理店、官庁などの職を捨て、続々と主婦になるアメリカの若い女性が増えています。しかし彼女たちは、これまでの主婦とはまったく違います。自分で生き方を選択する「Housewife 2.0」なのです。

「会社を選択的に離脱する」「企業社会で燃え尽きた母親の世代を反面教師にする」「田舎生活を楽しみ、ジャムをつくり、編み物をする」「ストレスのある高報酬より、ほっとできる暮らしをする」「ウェブ、SNSを使いワークシェアする」「ブログで発信し、起業する」「家事を夫と分担し余裕をもった子育てをする」。つまり、報われないバリキャリ世代を反面教師とする彼女たちは、会社を離れ、持ち前の能力とやる気で家庭生活を手作りし、オーガニックを極め、屋上で野菜を育て、主婦ブロガーとなり、ママ起業するのです。本書の著者、マッチャーさん自身もハーバード大学を卒業しながら、不況に直面した世代。地元大学の事務職を辞め、現在はノースカロライナの田舎で夫とともに手作りライフを楽しんでいるハウスワイフ2.0の一人です。

家庭と仕事と人生、すべてを満たす “ハウスワイフ2.0”という新しい働き方・生き方に、今、熱い共感が集まっています。

「リーンイン」はご存知Facebook COOのシェリル・サンドバーグが書いた女性の働き方の本で、ブログでも一度取り上げました。

「リーンイン」のブログの記事はこちら。

リーンインの方は、話としては極めて論理だっており、また、その記述にも細心の注意を払った言説で構成されていて、シェリル・サンドバーグが述べたかった「女性は社会的な圧力・構造的な問題・整備の不備などいろいろあるけど、自分から身を引くのではなく、最後の最後まで、自分のキャリアにチャレンジしてみよう」というのが、うまくまとめられている。正直、この本を読んでシェリル・サンドバーグが何を言いたかったのかわからない、という人はいないと思う。

だけど、「ハウスワイフ2.0」はわからなかった。いや、何が言いたいかというより、この「ハウスワイフ2.0」が現象なのか、ムーブメントなのか、それとも主義なのか、そのあたりの骨子が非常に掴みづらい。要は、良い大学出たけど、キャリアからはそうそうに離脱(この場合諦めたのはなく、そのような不毛な争いからさっさと手を引いたということ)して、家族や子供のために手作りで安全な食べ物とか、地域のビジネスとか、家庭での教育とかそういうものに熱中する女の子がアメリカで非常に増えてますよ、という話で、それ自体は景気が悪くなり、良い条件の仕事が少なくなれば、いままでもなんども話題になってきた現象だと思う。

もし、これが恒久的な現象だというなら、次は統計的な解析となるはずなのだが、それがこの本にはない。おもしろいくらいにない。このままだと、この本はいったい何を相手にしているか、その骨子もわからないままじゃないか、と思っていたら、そのまま本が終わった。というわけで、これは「リーンイン」の対立軸として語るような類の本ではないと思う。言いたいことはわからないではないのだが、どちらかというと現在のアメリカの問題点をまとめたノンフィクション的な作品とかんがえると良いのはないかと思う。その問題とは、以下の点だ。

  • アメリカに産休制度がないこと、そのため育児を始めると一気に給与が落ち込むこと
  • 食品業界に対して強い不信感が広がっていること

まぁ、他にもあるが要はこの2つが大きな問題なのかな、と思う。あえて、もう一点あげるとすれば「アメリカの教育制度が信用ならないこと」だが、これは特に客観的なデータに基づいた分析があったわけではなく、上の2つが良い大学を出た女性をハウスワイフに走らせる大きな原因であると述べられている。まぁ、このあたりはわかるし、今後改善していく必要もあると思う。だけど、本一冊の内容としては弱いかなー。むしろ、シアーズ先生の本とかEtsyが米国でどのような地位にいるのか、Etsy内で繰り広げられている競争とか、そのあたりに米国のハウスワイフが絡んでくる部分とか、そのあたりのサイドストーリーの方が面白く読めた本でした。