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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

リモートワークの話と逆張り思考による構造的な強み

最近、めっきり聞かなくなった「在宅勤務」や「ノマド」の話題が登場していた。

すでに「ノマド」という概念は、はあまり昨今のディスカッションポイントではないとおもうが、リモートワークは現時点でもテクノロジー企業において大きなトピックであると思う。特に海外からは良質なリモートワークに関する本や論考が出ており、傾向でみたら、リモートワークは確実に普及している。

上の本の書評は以下のエントリーで書いている。

たとえば、これまで属人性の塊と言われてきたサーバの設定やチューニング。これも最近はChefなどのプロビジョニングツールによって、個人が抱えている秘伝を排除し、ひとつの明文化された設定として管理されるようになってきています。また、ユニットテストを書いてJenkinsでCIし、Githubでコードレビューを行ってデプロイ。現在、特にテック系のスタートアップで主流となっている開発のワークフローは、全て言い換えれば、このワークフローに従えばわずか数日で、新しい人が開発に参加できるようになっています。この流れというのは、リモートワークと非常に相性が良い。つまり、全ての作業から属人性が失われることで、逆にリモートであっても何でも良いから、腕の立つ人が必要という流れが生まれてきているということです。

「在宅勤務」は猪子さんも言っている通り、分担できる仕事なら在宅勤務もあり得るというのは、非常に正しい考え方で、分担するのが難しそうな仕事を在宅勤務させるというのは、それだけで非常に大きなコストがかかる。ただし、たまにnaoyaさんとかのブログに登場しているが、モートワークを可能にする様々なテクノロジーが導入されれば、すべての開発プロセスが記述可能となり、属人性が排除され、結果的に現場にいるのとほぼ変わらない生産性が可能になりつつある。これは、リモートワークだけではなく、障害時の対応や突発的に人員が足りなくなった時に、プロセスが記述可能となっていることで結果的に個人がボトルネックになることを避けるという意味で、経営的なメリットは非常に大きい。

チームラボはデザインをともなう受託開発がメインのようなので、リモートワークを行うには、ロジックメインのワークフローからさらに一歩踏み込んだリモートワークの方法論が必要となることは容易に想像つき、これはたしかにいろいろ難しいことがあると思う。

上の記事で僕が面白かったのは、リモートワークの話ではなく、どちらかと言うと猪子さんの考え方。

かなり前から猪子さんの記事や特集、雑誌コラムなどを読んでいる僕の認識では、チームラボ猪子さんの考え方は一種独特だが、その本質は逆張り思考にあると思っている。つまり、世間一般には「当たり前」と言われていることが、本当にそれが「当たり前」なのかを考えて、少しでもトータルでプラスになることがあったら基本的にはその逆に張る考え方だ。いくつかの点でこの考え方はメリットが多い。

  • 通常の会社が行おうとしていることはトータルでみたらメリットが大きいのだが、逆にそこで失われるものがある。つまり、Aという要素が+10で、Bという要素が-2みたいな施策Xがあったとして、明らかにAの要素のプラスが大きいので、意思決定がプロセスに落ちている企業では施策Xを採用してしまうが、Aという要素が-3で、Bという要素が+7くらいの逆張りの代替案があった時に、意思決定を普遍的なプロセスに落としこんでいない企業では、施策Xとの差異化という点において、施策Yが非常に価値が発生する局面が存在する。

  • トータルで見たら、施策Xはまちがいなく長期的に利益率が高いので、利益などの点では施策Xは優れている。しかし、施策Yを採用することでしか実現できないことが存在するため、結果的に施策Yを採用することが企業として差異となり、利益率以外の点では、ほぼ不利にならない。

  • そして、猪子さんという得意なキャラクターが施策Yの正当性を担保してしまう。この点において、経営者が異質なキャラクターであることがその企業にとってプラスに働いている。

という構造があるように思う。ここで注目すべき点は、上の施策Xがトータルでみたら、確実に施策Yより優れているので、大企業にとっては、部署単位で施策Yを採用することはできても、全社的に導入するのは不可能であるという点だ。

このあたりの考え方は、スピードが早いWeb業界で、それだけで会社としての差異を生み出す構造的な強みになっているように感じる。リモートワークの話とちょっとずれたが、このあたりの考え方は整理すると、リモートワーク、チームで一緒に働くこと、デザインとテクノロジーが分けれない場合の企業の施策という形に落とし込めそうで、おもしろうだ。