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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

ビッグデータに関するヤフーの警鐘をどのように読むか

年始のエントリーでいくつか2014年の注目トピックを記載しましたが、ビッグデータ、フィルターバブル、セキュリティまわりのトピックは定期的に取り上げようと思います。

さて、ビッグデータに関して以下の記事がおもしろかったので紹介。


Yahooが現在の政府の方針であるEU型の事前規制の方向に反対している。実際の方向性については、以下のスライドがわかりやすい。
https://lh6.googleusercontent.com/-4B67yN4Nr4o/UuIDiMTkJBI/AAAAAAAAUqc/WorPwXn1lRE/w719-h539-no/slide_334036_3341269_free.jpg
「EU型事前規制」を導入されてしまうと、その時点で日本の主要事業者のビジネスモデルが固定化されてしまうが、規制の少ないアメリカから最新のサービスが来た時に、海外からのサービスに対する規制がほぼ存在しない現状では、アメリカのサービスにいいようにやられてしまう。そのため、日本でも米国と同じ水準を採用する必要がある、というのが大きな論点だと思う。
また、以下のスライドが非常に面白い。
https://lh6.googleusercontent.com/-fMcAn0yLnXs/UuIMzzupmVI/AAAAAAAAUqw/fJ07Ib_L3sw/w719-h539-no/slide_334036_3341271_free.jpg
「プライバシーフリーク」という表現自体ははじめて見たのですが、結構有名なのかしら。記載された日本の「プライバシーフリークの台頭」というのが、何を指すのかいまさら説明する必要もないと思うが、下手に他社のデータを利用したり提供しようすると、どこで問題が発生するのか、というより「何を問題と定義されるのか」問題が起こってみないとわからない、というあたりがリスクとして企業としては恐ろしすぎるというのが現状ではある。でも、この「プライバシーフリーク」という言語化は結構まずい一手だと思うが。

では具体的に何が問題なのか

まず前提として、米国のビッグデータなどの情報政策は一種の覇権主義と考えて良いと思う。つまり、この方針は米国の国策であり、情報による覇権は達成すべき目標として定義されている。Google、Facebook、Amazon、Appleなどの企業の価値こそが米国的な長期的な覇権であり、これらの企業が将来にわたって他国の企業と比較して圧倒的な優位を維持することが米国にとって重要なことである。さらに高城剛流にいうとここに国防も入ってくるが、そこはここでは述べない(まとめきれないので、、、)。
この前提で眺めると日本の方針は、日本の事業者からは一種の敗北主義的に見えるだろう。というのも、現状のルールが日本で策定されたら、日本企業がビジネスモデル的に優位に立つことはかなり難しい状況となるから。国内に取引の実態があれば、独占禁止法により独占的な地位を利用した優位な取引を継続することに関する制限が可能だが、バックグラウンドに存在する情報に関してはそのような規制を米国企業が米国に持つサーバに情報を保持する場合は制限を設けることが難しい、つまり一度日本市場に優位に立った場合、その優位の源泉が日本外に存在する以上、日本からはその日本国内で行われているサービスに対する直接的な制限しか行えないが、実際問題バックグラウンドでどのように利用されるかは調査する自体かなり難しい。なので、Googleも米国のFTC(連邦取引委員会法)による介入は非常に恐れるが、他の国での事業は国の方針によってはあっさり見切ったりする。このあたりはわかりやすい動きではある。
ただ、日本のユーザーにとっては、「EU型のアプローチ」を採用してほしいという声が大きいのも間違いないと思う。たとえば、エントリーで炎上例として記載されている「JR東日本がSuicaの利用履歴データを販売する方針」だが、これに関してはむしろJR東日本側にも拙い点があったというのが総合的な評価だと思う。このあたりの詳細は日経コンピュータの「「Suica履歴販売」 は何を誤ったのか」に関して丁寧に総括されているので、興味ある人はどうぞ。

http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/image/h_NC0845.jpg
少なくとも日本初の世界で勝負しようとしているIT企業がいくつかあるわけなので、そのような企業の言い分も含めてルールが制定されないと、長期的な競争が維持されない。そんなわけで、2元論では決して語れない問題ではあるものの、ヤフーの警鐘は事業者側の都合としては良い問題提起だと思う。あとはどれくらい成熟した議論ができるかが問題だが。。。