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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

これがリーンの最先端「Lean UX」書評

リーン・スタートアップはこのブログでもさんざん取り上げましたが、まさか後輩でもある@mariosakata君が監訳したリーンスタートアップ関連の本が出るということで楽しみにしていたのですが、興味持っていたらタイミング良く献本いただいたので、早速読んで感想まとめたいとおもいます。ついでにリーン・スタートアップの書評エントリーはこちら。

本書はリーンスタートアップの手法をUX(ユーザエクスペリエンス)に応用させたものです。
構築・計測・学習ループをUXデザインに応用することによって、最適なデザインに最短で到達する方法を解説します。
開発者やプロダクトマネージャ、マーケティング担当者などデザイナーではない人と透明性のあるコラボレーションが可能になり、部門や領域横断的なチームでも大きな効果を発揮します。
エクスペリエンスのデザインに重点を置くことで、プロジェクトの効率化を実現する本書は、デザイナーはもちろん、その他UXに関わるすべての人に必携の一冊です。

さてさて、Lean UXというのは僕もこの本で初めて聴いた単語なので、概念としては、IDEOなどでおなじみのデザイン思考にアジャイル開発とリーン・スタートアップの方法論をミックスした感じのもの。この3つとも関連書籍はすべて読んでいたので、違和感なしですんなりLean UXの概念も理解出来ました。リーンスタートアップは本当に簡単にまとめると「最小の評価可能なプロダクトを作成して、そのプロダクトにとって仮設を設定した上で、その仮説の計測可能な指標を設定し、こまかいサイクルで仮設の検証とブラッシュアップをひたすら細かいサイクルで回す」というものですが、Lean UXはこのサイクルをUXの改善のために回してしまおうというアプローチです。最近、技術がコモディティ化し、スマートフォンアプリがメインの主戦場になり、差別要因がアプリのUXになってきたという話をよく効きますが、まさにそのような状態にあわせてリーンの概念も進歩しているということですね。
この本は、すごくコンパクトにまとまっていてLean UXという方法論の総括としては申し分ない本だと思います。おそらく10人以下のチームが新規プロダクトを作成するなら、この本に記載された方法論はすごく効果的に回ると思います。というか、以下のエントリーで@kosukさんも述べてますが、少ない人数で良いものつくろうと模索したら、多かれ少なかれLean UXのアプローチに似てくると思うんですよ。UXを改善する方法論にLeanはすごくフィットするので。

ぶっちゃけ、うちかなりこれできてるなあ、という気がしました。というかフリーランスで最少人数で、最小工数で、最大限の成果をあげようとすると、Leanとか勉強しなくても元からこうなる。既存の組織をLean UXにフィットさせようと思うと、それは大変なんでしょうが、プロジェクトごとにチーム編成になるわけで、そういう意味じゃ、やれるプレイヤーさえ揃えば、こういうのって案外できますよ。

で、問題は既存の組織・大規模なプロダクトでどうやってLean UXで回すかということなのですが、これは、まぁ、ちょっと厳しいですね。この本の筆者もおそらくその経験はないでしょうし、リーンの概念を大規模に既存のプロジェクトにトライした例はいくつか知っていますが、実際に成功した例は数えるほどしかしりません。ましてやUXもターゲットにしているとなると、成功した組織が存在するかどうか。どうしても大規模プロジェクトの幾つかの構成組織がLeanの概念を取り入れて開発してるけど、全体の動きはゆっくりになってしまうのですよね。ここはもう今後もいろんな会社が痛みをともなってトライしていくしかない。プロジェクトの規模が大きいとこれはもうどうしようもない。個別に会社の事例・問題を考えて、取り組んでいくしかないでしょう。
Lean UXに記載されている例で最大のものはGEがどのようにUXを会社単位で一致させたかという例ですが、これは非常に勉強になりました。GEのUXチームは数千人に及ぶ開発者が独立して作成するプロジェクトのUXを統一するため、IIDSというシステムを作成し、そこでは最新のHTML5(BootstrapとJqueryなどで作成)で作成されたブランド名を持つ機能的なUIデザインパターン・ライブラリ、テンプレート、グラフィックアセット、コードスニペット、サンプルアプリケーションを提供し、それに従って全てのソフトウェアのクリック可能なプロトタイプを作成するようにすることで、GEの社内・社外用のプロトタイピングのスピードを加速させ、開発に必要な期間も平均半年も短縮することができたそうです。ついでにこれもしHTML5で良いなら、そのままリリースしてもかまわないものなので、プロジェクトによってはものすごく捗りそうなのは容易に想像つきますよね。
そんなわけで、この本のスコープはどちらかというと10人程度の小さなチームで回す開発についてです。規模感としてはそのようなチームが複数個できるのが最大かな。そのくらいの規模の開発に関していえば、すごく詳細に方法論と遭遇するだろう問題と問題への対処法が記載されています。特にスタートアップには、Lean UXの方法論がかなりフィットするプロジェクトも多いと思うのですよね。というか、「出来る人」が集まっていたら、多かれ少なかれこの本に似たアプローチはしてると思うのです。その自分のアプローチを振り返るというのはなかなか難しいと思うのですが、そんな用途にこの本はぴったり刺さります。それは保証できます。