読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

経済合理性のある生き方を学ぶ「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ」橘玲

前々から読んでみたいと思ってた橘玲の「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ」。ちょっと時間が出来たので、そこまで長い本でもないしさくっと読んでみた。

内容としては、2002年に発表した「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ」の12年後の改訂版。

まず、この本の骨子はきちんとお金をためるには「黄金の羽根」を拾うのが重要であると説く。この「黄金の羽根」というのは、制度の歪みから構造的に発生する幸運。簡単にいうと現代社会で常識とされるが、経済合理性で考えると搾取されていることに分類されることをきちんと回避して、その上で制度上の抜け穴を合法的に利用してお金が貯まる体制を構築することである。この本で記載されている観点は主に以下の4つだ。

  • 金融資産
  • 不動産
  • 生命保険
  • マイクロ法人

この中で、金融資産と生命保険は最近だいぶメジャーな話題になってしまった。金融資産は「株価が予測できないという観点に立つと、アクティブ投資を行うファンドの期待値はインデックスファンドと変わらず、手数料の分マイナスになることが数学的に証明されていること」、生命保険は「日本人はすでに国民保険という超強力な保険に入っているので、原則生命保険は不要であり、どうしても必要なケースは成人前の家族がいる場合にこどもが成人するまでに必要なお金のみ生命保険に掛け捨てで入れば良い」あたりが骨子になっていると思う。この観点に立つと、資産の形成というのは、金融資産や生命保険でお金をロストしないことが重要で、最終的には収入を増やして支出を減らすという簡単な構造に帰結する。

その上で、重要なのが不動産とマイクロ法人だ。不動産は橘玲は完全に賃貸主義者なので、如何に不動産を購入するという行為が自分の資産バランスをいびつなものにするかを説く。マイクロ法人はもっと簡単で、日本のサラリーマンが政府に実質払っている税金・社会保険の額は平均で収入の30%にもなる。法人化して合法的な範囲で節税すれば、払うべき額は半分以下になるので、早めに働き方をサラリーマンからマイクロ法人に切り替えることが重要であるというのがこの本の基本的な考え方である。

読んでいて感じたのは、経済合理性をベースに考えるとものすごくわかりやすい理論である。特にマイクロ法人の部分は、いまサラリーマンの人が会社から独立してマイクロ法人になれ、といわれたら正直難しい人が多いと思うが、最初からそれを前提に人生設計をしている場合、能力に応じた期待値はかなり高くなるだろう。このあたり、周りにも自分で法人つくっている人は多いが、どちらかというと、もっと好きなことがやりたいというモチベーションで法人にしている人が多いように思うので、法人の維持はモチベーション的な課題が一番大きいように思う。

不動産の部分は、結構自分と逆の考え方をしているのがおもしろかった。僕はどちらかというと、日本は自分の年収以上の住宅をものすごい低い率のローンで購入できることが「黄金の羽根」に属すると感じている。現時点のフラット35を利用した住宅ローンの利率は2015年2月の成約で最安値は1.33%。これにフラット35Sの長期優良住宅における10年間の金利優遇0.6%がつくので、最初の10年間は0.73%、その後も1.33%で35年間借りることができるので、住宅ローン減税が最初の10年間で1%あると考えると、ほぼ利を払わずにお金を10年間借りることでできることになる。「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ」において、ローンの金利は3%で計算されていますが、現状の金利優遇は明らかに住宅を買えなくなった状態に対する制度の歪みであり、これをうまく利用するというのもひとつの「黄金の羽の拾い方」のように思う。とはいえ、普通にマンションを買っても値下がりするとその値下がり分がマイナスになるので、あまり人にオススメできる方法でもないが、不動産に関しては東京の一部のリセールバリューを維持できるマンションに限って言えば、逆の発想もありかな、と思った。

この本でも多くのページが割かれている「賃貸VS購入」の議論って、どちらが良いかという議論になりがちだが、「日本の多くの地域では賃貸が有利だが、東京のごく一部かつ一定の年収があるケースでのみ、購入を選択してもかなり割の良い賭けである」というのでほぼ結論でていると個人的には思っている。それに興味がある人は購入すればよいし、そうでないなら基本賃貸で問題ない。

そんなわけで、当時はかなりセンセーショナルだっただろう内容もだいぶ今となっては一般常識とまではいかないがマイルドな内容に感じる。ただし、最初にこの情報をまとめて提供してくれた原著として橘玲の主張はわかりやすいし、一度もこの手の本を読んだことがない人はその最初の本としてはうってつけでしょう。内容としては、かなり知っていることが多かったが、あらためて読むといろいろと気付きもありなかなかおもしろかったです。