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FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

話題になりがちな人工知能の論点を改めて整理してみる

今月号のニュートンの「人工知能が人類を超える日」を読みながら、人工知能トピックの論点を整理する必要があるな、と思った。

というのも、シンギュラリティという言葉を引き合いに出して、2045年までにAIが人類を超えるというのが、昨今の人工知能特集のメイン。だいたいそこに、Deep Learningと人間の仕事をAIが奪うというトピックを併せて、それっぽい現在の事例を並べるという構造を取っていることが多い。ニュートンもそうだし、最近みた人工知能系の特集はこのパターンが多い。ニュートンがちょっとおもしろかったのは、「人工頭脳プロジェクト〜ロボットは東大にはいれるか〜」の紹介で、センター試験物理の問題をコンピュータが理解するための技術的課題を整理している。これは、結構おもしろいトピックだと思うけど、まぁ、ネタとしては若干マイナーな感じがする。

人工知能の論点を整理する上で以下の本は非常に都合が良い。

特に良いとおもったのが、その章立てなので、抜粋してみる。

  • 何を持って「人工知能」とみなす?
  • 人工知能の怖さは予測精度にある
  • 人工知能の得意・不得意がみえてきた
  • クリエイティブなコンピュータは出現するか
  • 核心は「近似」の判断にあり
  • 「予測」の仕組みが見えてきた
  • ディープラーニングってそんなにすごいの?
  • 株価予測で抜け駆けはできる?
  • ビッグデータが新しい国家を作る
  • ビッグデータは誰のもの?
  • 脳をそのままコピーできるのか
  • ネット上に自己の「意識」は放てる?
  • 「飽きる」は機械にはない特性
  • 人はイルカの「知」をもっと引き出せる?
  • 人工知能は「人」の領域を広げるか?
  • すべての犯罪を見逃さない社会がやってくる
  • ビッグデータと人工知能が不平等をあぶり出す
  • 自動運転は良い事ばかりじゃない!?
  • 命を秤に掛ける判断が問われる
  • 人間と共存する機械は感情を持つべき?
  • 経済活動がリアルタイムで変化しはじめる
  • ロボットには寿命が必要
  • コンピューターに、愛は伝わるか?
  • 人間は何をどう学べばいいの?
  • 勉強できる子、できない子はどうやってフォローする?
  • 教育は本当にフラット化されるか
  • 人工知能は「いまどきの若者」を底上げできる?
  • 医師やコンサルタントも格付けされる?
  • 人工知能はウェアラブルから人体直結へ?
  • 人間の尊厳はどこで保たれるか?

これは、現時点で書籍でカバーすることができるトピックを広くカバーできている。そういう意味では、今人工知能の論点を整理する上での最初の本として非常に良い。もちろん、最初の一歩だが、実際、こういう全体の論点自体を理解することが、個別のトピックの理解につながるので、まだ未読の人はおすすめです。

さて、こうやって眺めてみると、結構いろんなものが見えてくる。

まず、ディープラーニングという手段の重要性。基本的に最近の人工知能ネタの半分くらいは背景にこの手法とこの手法のための計算手法の発展があると思って良い。slideshareにいい感じの資料がたくさんあがっているので、興味がある人は見ると良いと思う。

そして、ビッグデータ・医療・教育などの現実的問題との関連性。このあたりはすでにビジネスの領域になっているので、簡単にキャッチアップできる。

最後に人工知能と人間の仕事との関係性。クリエイティブとの関連・仕事を奪う・何ができるのか当たりが鉄板のトピックで、この辺りを突き詰めると俗に2045年問題と言われる人工知能が危険というトピックがある。この人工知能が危険というのは、結構おもしろいトピックで、いろいろな人の意見を自分なりにまとめると、生物がDNAを維持するシステムという考え方とは別にミームという社会や文化を維持する情報を維持するシステムでもあるという意見がリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」で提唱された。「利己的な遺伝子」とその関連作の「盲目の時計職人」はすごいおもしろい本なので、興味ある人は読んでいただくとして、このミームという概念で考えた場合、人工知能というシステムは人間と比較すると「情報の保存・発展」という部分で非常に優れているので、将来的にこの役割において、人工知能は人間に取って代わるのではないか、という指摘なのだと思う。改めて書いてみるとずいぶん形而上学的な指摘だ。

この指摘は、じつはカー先生の最新作「オートメーション・バカ」で、「ルーチンワークとクリエイティビティの関係性」という形で議論されており、そこと併せて読むと、クリエイティブとの関係性や自動化と人間の関係という人工知能トピックになるというなかなかおもしろい構造になっている。このあたりは、まだきちんとまとめた記事を読んだことないので、一度僕もまとめるのチャレンジしてみたい。

そんなわけで、上記のように人工知能の論点って整理できるのかなーと、ニュートンや上の本を読みながら思った。