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「パレード」吉田修一を読んだ

「パレード」吉田修一を読んでみました。

芥川賞とってた「パークライフ」が結構おもしろかったので、チェックリストに入ってた吉田修一ですが、book off行ったとき一冊おもしろそうなのがあったので買ってみました。

ついでに、なんでおれが「パークライフ」をおもしろいと感じたかということを、一番簡単に説明できるのはこんな場面があったからです。

公園だけで会う関係の二人がいて、女の人のほうがスタバでキャラメルマキアートを買ってきてくれます。それを受け取ってちょっとしてから男が、
「さっきのキャラメル・マキアートいくらだった?」と財布を取り出しながら言います。
それを見て、女の人が笑いながら、
「そんなのいいわよ。、、、でも、あなた、他の人に好かれるでしょ。」
といいます。

この場面がとっても印象的でした。あっさりこんな場面を書いてくれたら、そりゃチェックもしますよ。

で、「パレード」ですが、これもなかなかおもしろかったです。この物語はある2DKのマンションに同居する5人の人達を、それぞれの視点からどんなことを考え、どんな風に生活してるのかを時系列に沿って切り取る話なのですが、このひとりひとりが良くできています。この一緒に住んでいる人達はそれぞれお互いに干渉することなく住んでいるのですが、そのことをなかの5人がどんな風に考え、どんな心情なのかをいうことが淡々と描かれていきます。その一人一人のストーリーの出来が秀逸で、引き込まれていきます。

あと、一番目を引くのが、この本の表紙と帯です。すごいいい感じに仕上げていて、どこのデザイナーがやったのかと思ったら、さすがというか「鈴木成一デザイン室 」でした。ここの作品はいつもこころにくい感じです。帯のキャッチコピーもうまかったなぁ。なかなかやりよります。