うーん、やはりタームペーパの提出前になると、忙しくてなかなか書けなくなる。
そんななか「虚数」レムを読んだ。
この本は実際には存在しない架空の書の序文と圧倒的知性を持ったコンピュータGOLUM XIVの講演の記録からなる。
すごい、すごいと講師のNさんとかいろんな人から聴いていたので実際に読んでみたら本当にすごかった。読んでいて思考のアクロバット感にめまいがしてくる。これを小説の最高峰に位置づける人が多いのも納得した。これ以上の書物がどういう体裁をとるのか想像がつかない。この本を1970年代に書いたレムはそれ以降、ほとんど小説は発表しなくなるらしいが、それも納得した。彼のなかで、なにかが終わったのだろう。
この本をリアルタイムで読んだ人たちは何を考えたのだろう。この本が発表された当時、まだ「利己的な遺伝子」さえ発刊されてなかった。しかし、この本はすでに「利己的な遺伝子」を越えている。なんか、だまされている気さえしてくる。この本はつい最近の進化遺伝学の知見を得てかかれたのではないか、なんて考えたくなる。
世の中は広いなぁ、と感じた。あとついでに噂になってた日本語の序文のひどさも本当にひどかった。これはしゃれにならん。