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AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

生命について最近考えること

最近、考えていることをまとめてみる。妄想に近いので気をつけること。

現在、細胞は、DNA、RNA、タンパク質、代謝物質のような化学分子が階層構造を組み、それぞれがそれぞれに影響を与え合いながら、細胞としての機能を提供していると考えているようだ。まぁ、各階層内のインタラクションも込みとして。

Network biology: understanding the cell's functional organization
Albert-László Barabási & Zoltán N. Oltvai

全体でみたら、そうなんだろう。ただ、感覚的に、俺が主に研究している酵素と代謝物質からなる代謝ネットワーク、あとそれに付随する遺伝子制御ネットワークはコンピュータでいうところの電力に相当するものであり、その部分に劇的なチューンアップが可能だったり、なにか大きな秘密が隠されているとは思えない。今後、代謝ネットワークと遺伝子発現制御の研究が明らかにすることは、よくて原子力発電所がどのくらい不測の自体に備えており、どのくらいの効率でエネルギーを作ることができ、どのくらいのコストでそれを維持できるかということだと思う。

この部分を理解することは、つまり電力というコンピュータを動かす上での最もベースとなる部分を理解することに他ならない。それは重要だが、ある一定の電力が常に供給されるという仮定を取ることもできる。つまり、現代のコンピュータが、ある程度の電力はある程度のコストを払いつづければ社会が提供しつづけてくれる、という考えと同じだ。
この部分は、完成しており、なおかつ改変するコストが高いため、基本的に代謝系には大腸菌、酵母、赤血球、肝細胞とそこまで変わらないシステムが採用されている。各細胞ごとに特定代謝物質の合成の得意、不得意あるくらいだ。

では、コンピュータのハードウエア、ソフトウエアにあたるものはなんなのか。それは、つまりなにが細胞にとってコンピュータのような情報を計算でき改変でき保存できる機能を提供しているのか?ということである。

細胞が一つのコンピュータであり、効率的に情報を保持、改変、計算できているという考え方は俺にとってかなり自然なものだ。極めて効率的にそのあたりの能力を保持していない限り、情報を効率的に操るための器官である脳を構築できたと考えるのは難しい。

つまり、考え方としては。
・細胞は、群を構成しなくても一つの細胞でかなり効率的に情報を処理できる。
・細胞は世代を重ねなくてもある程度、情報をプログラムしなおすことが可能であり、それは一種の確率論的処理によっている。
・このようなことを仮定することで、情報処理に関する進化のスピードは劇的に向上する。
みたいなことである。

まずその情報処理機構がタンパク質、タンパク質間のシグナル伝達ではないのは確かだと思う。これは、情報を伝える回路として作用し、各タンパク質が複数個のステートメントを持つのでメモリたるえるが、一度完成したものを改変することは容易ではない。(ここで容易ではないとは、突然変異、淘汰の繰り返しによる進化的手段をもちいてかなり長い世代を必要とするを意味、少なくとも世代を重ねないと改変が出来ないことは情報処理機構としては不完全である)

タンパク質、DNA間のネットワークは最終的な成果としてみた場合、情報処理機関の最終的青果物のコンパイル済み実行ファイルと捉えることができる。ただし、この部分は自分で改変することは難しく、情報処理機関としては物足りない。

俺は、この情報処理機関のプログラマーでありプラグラムである部分が、DNAとRNAのみで構成されていると考えている。ジャンクDNAから転写する大量のRNAがDNAに直接作用しており、その課程にタンパク質を挟まない。RNAが直接、ジャンク、機能性問わずさまざまなDNAに作用し、それが転写するRNAの性質を変えてしまう。そのRNAがまたDNAに作用するというネットワークを決定する。つまり、DNAとRNAがネットワークというよりは情報回路を構成し、アルゴリズムを構築し、ソフトウエアとなる。RNAは十分一時的なメモリ足りうる保存性を備えながら,改変が容易、さらにDNAに対して低いコストで作用できる。核という限定された空間で、ジャンクDNAから大量のRNAが転写される理由が俺にはそれ以外おもいつかない。

まぁ、というわけで、上のようなことが行われていると仮定しよう。細胞は核内に現代のコンピュータを超えるメモリとプロセッサが混在化した情報処理機能を持ったものを備えていると。これが、意味することはなんだろう。それは、もうハードウエアが完成し、電力が供給されるコンピュータが達成できることと等値、それ以上だ。

それは、きっとなんでもプログラムできるだろう。おそらく核という情報処理機関をもった細胞はほとんど細胞の基礎的な機構(この場合、発現システムや転写システムの基礎的なシステムと代謝システムなどのDNA、RNAより下の層)を変化させることなく、多様な生物を形成することが可能だと思う。また、コンピュータを備えたことが細胞間、細胞間インタラクションの関係を劇的に変えた可能性もある。多細胞生物が生存し、器官を形成する理由(プログラム)を根本的にはそこに求めることができるかもしれない。

では、このプログラムが最も有効に働いている器官はどこだろうか?

脳がその一つであることは間違いない。

次は、時間をみつけて俺が考えている人間の知能と意識について書きます。ただ、結構、俺は知能、意識に関してはGoogleとユーザーみたいな関係みたいなものなんじゃないかと漠然と考えているので、ありきたりの考えといったら、ありきたりの考えですけど。