元過激派の父親を持つ子供の視点で、父親の生き方を眺めながら、子供としていろいろ考える。みたいな内容なのですが、父親の不器用さがほほえましくもなかなかステキです。やはり、奥田英朗は破天荒な人を書かせたら一流です。
一部の舞台が東京で、二部の舞台は東京ではないのですが、この舞台のギャップがすがすがしく、迫力もありおもしろいです。第一部が好きな人と、第二部が好きな人で別れそうですが、青森出身で東京在住の俺は楽しく読めました。環境が変わると、ここまで人が変わるのかと思うと同時に、説得力もあります。ただ、本当に東京に疲れている人が読むと、まじで移住をかんがえちゃうかも。
本自体のテーマは、自分達が無意識のうちに制限を受けていること、そこから一歩でるだけで、より幅広い考え方を得られることなのだと思うのですが、父親のパワーがはんぱないため、結局、読みながら笑ってしまいます。まぁ、その辺りも計算尽くなのだと思いますが、疲れているときに、さらっと読むのがいい小説かと思います。