早速、旅行記を書こうとしたら、こんなニュースが。
- 村井純氏がWinny裁判の弁護側証人として出廷
http://slashdot.jp/articles/06/02/17/0628252.shtml
- Winny開発者の裁判に村井教授が証人として出廷、検察側の主張に異議
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/02/16/10925.html
詳しい経緯を知りたい人はこれ。
- 市民裁判員先行記第36回/Winny事件第19回公判
http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20060216/p2
俺は、以前から村井純教授は、俺の研究室の冨田勝教授と並び尊敬している先生と述べてきましたが、このような場所に証言者として大学の常任理事がリスクを取って証言することにインターネットの研究者としての姿勢を見ました。
金子氏の著書「Winnyの技術」も読んだことがあるとして、著書の中で解説されている階層化ネットワーク、クラスタ化、キャッシュなどの各技術について、どのように思うかという意見も披露。こうした技術はいずれもインターネット上のアプリケーションで利用されている技術であり、かつWinnyではファイル共有の効率を向上させるためにこれらの技術を洗練された形で使用していると述べた。
あー、この場面みたかったー。京都地方裁判所じゃなかったら、絶対に傍聴いったのになー。
また、検察側が提出した証拠のうち、京都府警がWinnyを使ったファイル交換の実験を行なった際の説明図についても、村井氏に対して質問が行なわれた。図版には、ルータの内側のネットワークではプライベートアドレスを利用するように書かれているが、実験を行なったというPCにはグローバルアドレスが割り当てられているように書かれており、これではインターネットには接続できず、書かれているIPアドレスやセグメントが間違っていると指摘した。
もうね、なにがなんだか。これは検察が村井純教授の能力を甘く見すぎ。こういうミスは見る人が見れば、一発でわかるんだから。憤りさえ感じる。
あと、傍聴した人のスラッシュドットのコメントにも書かれているけど、
弁護側「あなたは日本のインターネットの父と言われていますね」
村井御大「はい」
これが、つぼった。日本のインターネットの父って、実際に言われたらちょっと恥ずかしい呼び名に「はい」と答える村井さん、萌え。
個人的には、村井教授が登場したのは、
- Winnyの開発手法について。利用者の要望を取り入れてヴァージョン・アップする手法は、特殊なものなのか
優れたソフトウェアの開発手法である。ソフトウェアは人と社会のために用いられるものであり、人と社会が物差しとなる。そのため利用者からのフィード・バックを取り入れ、ヴァージョン・アップがなされることは、安全で使いやすいソフトへと自動的に成長、発展していくことにつながる
- こまめにヴァージョン・アップを行っていることは
優れた手法
- 被告人の逮捕、起訴によって、他の技術者への影響はあるか
あると思います
- どのような
P2Pの概念は非常に重要なものである。その研究・開発にブレーキがかかったと感じている
研究者、教育者として、おなじ研究を志す生徒のために証言したのだと思っている。
俺としても裁判では村井さんが言うとおり、ソフトウエアの開発と運用、その後の第3者も交えた展開を別個に議論すべきだと思う。ACCSという利益団体の担当者が裁判の告訴状を書いている当たりに、すでに様々な種を全て同時につぶそう、つぶそうとする悪意を感じる。Winnyの開発者を訴えるのなら、その後の不正利用に関与した「悪用厳禁」を叫んだネットランナーとかも訴えるべきだろうに、ソフトバンクは大きな顧客だからか、そんな話もない。総じて、告訴の趣旨からインターネットの研究者、それに関わるものとしては絶対に負けることが許されない類のものになってしまっているのだろう。