そういえば、合宿の最中に「ゲームクリエイター」のクリエイティビティーと「ソフトウエア開発者」のクリエイティビティーを少しだけ語ったことがあった。そこで、僕は、ソフトウエア開発には制作者サイドが満足するという意味のクリエイティビティーという価値観は入れるべきではなく、純粋にユーザを多く獲得したソフトウエアが優れたソフトウエアであると述べた。そのため、ソフトウエア開発者がクリエイティビティーを発揮するのは「隠れたニーズ」にこそ焦点を当てる必要があるのではないかというようなことを言った。
だが、その後振り返ってみて、「うーん、なんか微妙に言いたかったことと違うなー」と思ったわけだが、今日、RSSリーダ(フレッシュリーダーいいよ!!)を眺めていたらこんなエントリーに出くわした。
- JUDEの開発と営業活動
http://blogs.itmedia.co.jp/hiranabe/2005/09/jude_c95e.html
ぼくは幸せなことに、ソフトウェア開発を「仕事」に選んでしまった。だから、「良いものが売れる」、という考えは捨て、「売れるものが良いもの」という考え方をしている。
この辺りは、僕の考えと一緒だが、ここからの考察は明らかにレベルが高い。
営業というのは、「使う人」と「作る人」を結ぶアクティビティなんだ、プッシュ型(プロダクトアウト)では「押し付け」、プル型(マーケットイン)では「いいなり」。その真ん中で、コンセプトを提案し、要求を引き出す、「コンセプトアウト−デマンドイン」でもって、JUDEの未来を見つけ出したいと思う。これは、開発・営業一体戦略でないとできない。
このコンセプトアウト−デマンドインを評して、結城先生はこんなことをおっしゃっている。
- コンセプトアウト・デマンドイン
http://www.hyuki.com/d/200603.html#i20060320141926
平鍋さんのところに「コンセプトアウト・デマンドイン」というおもしろいことが書いてあった(以下、結城なりに理解して多少書き直しています)。
- プロダクトアウトは「押しつけ」になりやすい(わたしたちが作ったこの製品を使え)。
- マーケットインは「いいなり」になりやすい(つぎに売れるのはなんだ?なんだ?)。
コンセプトアウト・デマンドインは、プロダクトアウトとマーケットインの間にある。
- コンセプトアウト(わたしたちはこういうものを作っていきたい、と開発者側が言う)
- デマンドイン(それならこういう要望があります、と利用者側が言う)
平鍋さんの「チェンジビジョン」では、このコンセプトアウト・デマンドイン(製品のコンセプトを打ち出し、実際の要望はコミュニティからもらう)というのを、市場と開発を繋ぐ手法としているのだそうです。
うーん、さすがに説明がうまい。
僕が、人事の人に自分の何処を評価して採用してくださったのかを聞いたとき、「行っている研究と経験が魅力的だったのもそうだけど、エンジニアとしては珍しくコミュニケーション能力が高そうだった」という言葉をいただいた。ものすごくありがたい言葉であると同時に、このコンセプトアウト・デマンドインという概念を持ってソフトウエア開発に望みたいと思う。そんなわけで、初期の一番技術的に高度なことをしている部署で働きたいという希望から、顧客と触れあえる開発の部署で働くのもいいなーと思っている。そんなドキドキの配属発表は今月27日ですよ、お嬢さん!!