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ゴールデンスランバーは間違いなく今年No.1の傑作

ゴールデンスランバーを一気に読み終わりました。断言します。今年、No.1の傑作です。

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伊坂幸太郎の作品は大好きで、今まで出た作品は全て読んでいるのですが、初期の傑作「重力ピエロ」と並ぶ代表作になるかと思います。たぶん、直木賞もこれで取るでしょう。
簡単にストーリーを述べると、首相殺しの濡れ衣を着せられた主人公の逃亡劇なのですが、まず、この空気感がすばらしいです。僕が日頃の暮らしの中でマスコミに抱いていた懸念を見事に描いています。構成も絶妙で、続きが気になりページが止まりません。

伊坂幸太郎の作品の何が好きかというと、主人公の感覚がものすごく「まっとう」なことがあげられます。なかなかすごい主人公を描くことは出来ても、「まっとう」な主人公を描くことは出来ないものです。もちろん、破天荒な奴も登場するのですが、伊坂幸太郎の考える正しさというものが、作品全体に浸透しており、その正しさというものをいろいろなエピソードで多層的に見せられ、何度も涙を流しそうになりました。ちょうど「重力ピエロ」もそんな作品でした。

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構成の絶妙さは、本作品では章立てに現れているかと思います。特に全体を読んだ後、3章を読むと「あぁ、そういうことか」と合点しました。気の利いた台詞やエピソードがたくさん散らばっているように見えながら、最後に集約します。第2章がスパイスのように第4章の結末に効いてきて、その結末が第3章に集約していきます。読んでいて唸りました。

今年最後の読み納めに「ゴールデンスランバー」をお忘れなく!