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南アフリカの政治崩壊について

NewsWeekの2月27日号を見ていたら、予期せぬ南アフリカの政治崩壊の話があってびっくりした。南アフリカは2010年のFIFAワールドカップも決まっており、てっきりアフリカの中ではもっとも成功した国かとおもっていたのだが、どうもこの「南アフリカの堕落と絶望」を読む限り状況は違うようだ。

そもそも南アフリカの成功はネルソン・マンデラのようなカリスマ的指導者を拝し、ANC(アフリカ民族会議)と呼ばれる自由な議論を是とした宗教色の低い政党を作り上げたことによっている。このあたりの事情はインドも同じで、インドがパキスタンのようにイスラム過激派と民主主義との戦いに明け暮れる道を脱することが出来たのも、ガンジー、ネルーのようなカリスマ的指導者を拝したインド国民会議派が自由な議論を是とし、宗教をそこまで政治に持ち込まないことを基本姿勢としたことによる。さらにインドにいたってはそのあとインド人民党とインド国民会議派の2大政党的な政治を展開するまでに至っている。

まぁ、ここではインドの話はさておき、南アフリカの話なのだが、どうも最近情勢がおかしいらしい。というのも、反アパルトヘイト闘争という主題を失ったANCで腐敗が蔓延し、政治の機能が落ちているらしいのだ。白人と黒人の貧富の格差は縮小したが、逆に黒人同士の貧富の格差が拡大し、アメリカと比較して人口が7分の1程度の南アフリカ内でアメリカの8倍近い件数の殺人事件が発生しているとのこと。さらに、性暴力事件が広がっていて、病院に連れてこられる被害者への質問が「乱暴されたか?」ではなく「何人に輪姦されたか?」というようなものになっている。さらにHIVが広がり、現在、成人の19%がHIVに感染しているとのこと。

これを受け、反アパルトヘイト闘争を指揮した古参の議員であるアヤンダ・ドゥロドゥロが「私たちにとって、ANCは人生のすべてだ。それに祖国が破綻するのを黙って見てはいられない」と再び立ち上がることを決意した(不覚にもこの部分を読んで泣いてしまいました)と記載されている。隣国ジンバブエの社会崩壊が2chのコピペになるほど有名になってしまったが、ANCの古参議員がこの情勢をどのように打開していくのかをしっかりと見ていきたいと思う。