日経エレクトロニクスの3月24日号に「独創的な人材確保がグローバルな競争力の源泉に」という題材で韓国Samsung社の人材確保戦略についての記事が掲載されていました。
とても興味深い記事で、韓国Samsungグループの中に世界のMBAトップ10を優秀な成績で卒業し、グローバル企業で5年以上働き実績のある人たちだけで構成される未来戦略グループというものがあり、この中でS(Super)に属するメンバーは100万ドル以上の収入と260平米以上のマンション、高級車の支給が給与体系の基本となっているとのこと。また、このグループメンバーの一人につき一人の役員が割り当てられ、その人材にやめられたら担当役員が責任を追求されるらしいです。つまり、その役員にとってはそのメンバーをいかに満足して働かせるかが死活問題なわけで才能ある人材をいかすおもしろい制度だなと思いました。
つまり、Googleが技術の天才を金に糸目をつけず集めているように、Samsungは経営の天才を金に糸目をつけず集めているんですね。Googleの人材戦略に関しては以前、こんなエントリーを書きました。
また、この天才経営集団以外の人材戦略もおもしろくて、「地域専門家」というコースがあり、海外の法人長を育てるために、3ヶ月間合宿形式の語学特訓をした後、1年間担当する地域に派遣されるのですが、ここですることが会社に支給されたノートパソコンとデジタルカメラで日々の生活を自由形式でレポートし続け、帰国後に報告書を作成するだけで良いというものです。年間200〜300人の人がこの地域専門家として海外に派遣されるのですが、ここで作成されるデータベースと人脈がすさまじく地域によっては韓国の大使館のような役割を担っており、韓国国内でもSamsung社の社員であることがイコール韓国の未来を担っていると考えられているようです。
うーん、すごい人事制度ですね。
また、実力主義が浸透していて大多数の社員が40代で退職させられ、優秀な後輩にポストを明け渡す必要があるらしいです。このSamsungグループを退職した管理職を専門に扱うヘッドハンターも居るらしく、中小企業の役員としてこの人材が引っ張りだこらしいです。Samsungは現在韓国のGDPの10%近くを稼ぎ出し、韓国株式市場の20%の価値がSamsungグループによってしめられている訳ですから、もうあっちの感覚ではSamsung=韓国になっているのではないかと思います。
それにしても衝撃的なレポートでした。