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きちんとした液晶テレビを買う10のコツ

いやー、この「2008年ありえないHDTV製品ワースト10」というエントリーおもしろいですね。

ただ、ちょっと技術的な説明が必要がと思うので、各項目についてコメントをしておこうかなと思います。

10. 液晶テレビの仕様の中でもコントラスト比は意味をなさない

これはおっしゃるとおり、現在の日本メーカーが発売している液晶テレビにおいてはほとんど意味をなさないスペックです。そもそも例えばREGZAの商品仕様のページなどを見てもわかりますがコントラスト比を出していない液晶テレビも多いです。

コントラスト比とは簡単にいうと液晶が発色できる「白(最大輝度)」と「黒(最小輝度)」の輝度比なのですが、このコントラストが重要となってくるのは液晶ディスプレイの方で、液晶テレビにおいては、良いテレビほどコントラストをそのソースに応じてかなりダイナミックに変化させるので、液晶のパネル側のスペックに依存するコントラスト比は実際のテレビ視聴環境ではほとんど意味をなしません。

このコントラスト比をスペックとして明示している会社はたいていパネルを自社製造している会社です。というのもコントラスト比は主にパネル側のスペックに依存するので、パネル製造も自社で行っているメーカーはマーケティング的にその値を使ってプッシュすることが可能なのです。例えば、アクオス「LC-46XJ1」のコントラスト比は「15000:1」です。BRAVIA「X5000」のコントラスト比は「1500:1」です。なんで10倍もコントラスト比に差があるかというと、液晶は白(最大輝度)の色を出すのは得意なのですが、黒(最小輝度)の色を出すのが苦手なので、液晶の世代が進んでいるシャープの方がいい値が出ているわけです。ただ、最初に書いたとおり、コントラスト比を見て液晶テレビを決める必要は全くありません。

9. ケープル・サテライトチャンネルは偽のHD映像を配信している

これはたぶんアメリカの事情なのではないかと。日本においては地デジで配信されている映像が1080iというれっきとしたHDスペックの映像なので、むしろテレビ側が1080iの映像をきちんと扱えることが極めて重要です。一度、地デジを体験してしまうともうアナログには戻れませんよ、まじで。

8. ライン・コンディショナーは不要

すいません、"Line Conditioners"が何のことを指しているのかよくわからないのですが、これが例えばピュア・オーディオ用の純銅を導入するとか電源周りの改善の関連のことを指しているなら、彼らの言うとおり電源周りを既製品から改造して画質が良くなると言うことは絶対にありません。完全な迷信です。電源の抵抗の変化で何か画質が変わるような甘い設計を日本メーカーの技術者はしていません。

7. Deep Colorは不要

この辺りからおもしろくなってきますね。Deep Colorはかなり賛否両論ありそうな話なのですが、これは主に映像のソースに依存する話です。たとえば、HDMI 1.3はDeep Colorを出力するスペックを備えています。しかし、これは映像のソースがDeep Colorに相当する10bitで作成されていないと意味がないんですね。現状、PS3のゲームもBDの映像も8bitのソースなのでDeep Colorを利用できる映像ソースはほとんど存在しません。
液晶の展示とかに行くと10bitのソースを出力して、いかにDeep Colorがすばらしいかをデモしているメーカーがありますが、まだ映像ソース作成の現場で試行錯誤を繰り返している部分で、彼らの言うとおり今後すぐにDeep Colorのスペックが必要になるっていうことは僕もないと思います。ただ、今、良い液晶テレビを買うとたいていDeep Color対応で、別にDeep Color対応だからといって、問題があるわけではないのでDeep Colorを目当てに液晶テレビを買うということがなければ特に問題はないのではないかと思います。

6. x.v. Colorは不要

このx.v. Colorも同じく映像ソース側がx.v. Colorに対応している必要があります。ただ、Deep Colorと違って、すでにHDビデオカメラがx.v. Colorの録画に対応し始めており、映像ソースが存在しないわけではありません。少なくともDeep Colorよりはx.v. Colorの方が早く普及が進む可能性があります。2008年時点では必要ないと思いますが、少なくとも液晶を3,4年使うつもりならx.v. Colorに対応した液晶テレビを買っておいても損はない気もします。

5. 対角42インチ未満の液晶テレビは1080pと720pの映像の区別がつかない。

少なくとも37インチだと確実に1080pと720pの映像の区別はつきます。32インチだと僕も区別できる自信がないです。個人的にはこの考えに賛成で、もしお金に余裕があるなら42インチ以上の液晶テレビを買うことがおすすめします。僕はあんまり余裕がないので37インチの液晶を買いましたが(笑)

4. 26インチ以下の液晶テレビは画質が良くない

これはですねー、液晶パネルの最新技術が主に32インチ以上の液晶パネルに投下されていることによります。つまり、ノーブランドの液晶テレビを買う場合、そのよくわからないメーカーが購入している26インチ以下の液晶パネルがかなり時代遅れのモデルである可能性が高いんです。日本メーカーの液晶を買う場合は、特に26インチ以下の液晶だからといって、極めて品質が落ちるということはないと思いますが、今液晶を買うなら32インチ〜42インチの辺りが一番価格的にもお手頃なのは間違いないです。

3. ノーブランドの液晶テレビはコストとして最終的に割高になる

あー、これは間違いないです。液晶テレビは故障した場合、修理費用がバカ高いので、アフターケアがしっかりしていないノーブランドの液晶テレビは絶対買わない方がいいです。

あと、今だとたぶんREGZAとノーブランドの液晶テレビって価格差がほとんどないとおもうんですよね。それはなぜかというと、液晶テレビはそのコストの大半が液晶パネルの部分に依存しているのですが、液晶パネルは技術力のある限られた企業しか製造していないので、そんなにノーブランドでもコストを下げることが簡単ではないのです。むしろ、大量購入、大量製造できるメーカーの方が価格がを下げられる体力を持っていたりします。

2. 120Hz対応HDMIケーブルは不要

これも全くその通りです。HDMIの仕様をきちんと満たしている製品であれば、バカ高いケーブルを買って映像が良くなると言うことはありません。Amazonで一番安く買える以下のPLANEXのケーブルを買っておけばそれで充分です。僕もこれ使ってますが、問題が発生したことはありませんし、今後も5000円とかするケーブルを買うつもりは全くありません。

1. HDMIはコネクタ接続部分が問題が出やすい

たしかにHDMIのコネクタって抜けやすいんですよね。仕事とかで頻繁にコネクタの抜き差しをしているとそれを感じます。ただ、日本メーカのものを買っている限り、コネクタ部分が問題になることはないですよ。もし、仮に映像が映らなくても1年以内なら無料で故障対応してくれるはずですから、あわてず騒がす保証書をひっぱりだしてきて各メーカーのアフターサービスに電話しましょう。

まとめ

こうやってみると、たしかに液晶を買うときにいろいろ注意すべき点がありますね。個人的には下手な液晶を買って公開するよりはあわてず騒がず値段が下がりきっているREGZA Z3500シリーズを買うことをおすすめします。間違っても値段が安いからと言ってノーブランドの液晶を買わないこと。それだけ気をつければ大丈夫なんじゃないかと思います。