毎日新聞が常軌を逸した内容の記事を英語版のサイトに掲載していた問題は皆さんご存じかと思います。まだ、ご存じない方は以下のエントリーなどがオモシロおかしくまとめているので、どうぞ。
この事件は一部日経オンラインなどの主要メディアにも毎日JPに掲載していた広告をYahoo、クライアント企業が引っ込めたということで話題になりました。
- http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmg/20080708/164783/
- 「毎日jp」が自社広告だらけに、ネット上に深いつめ跡残る | 日経クロステック(xTECH)
この事件を受けて、先日2chの管理人ひろゆき氏のブログに以下のエントリーが掲載されました。
新聞紙が売れなくなってしまって、ネットメディアを収益の柱にしようとしていたのに、ネットユーザーによって、売り上げを完全に止められてしまってるわけです。
しかも、これがいつ終わるのかというと、誰も知らない。
誰に聞けばいいのかわからないし、誰を説得すればいいのかもわからない。
特定のリーダーがいない組織との争いの経験がある人は少ないですからねぇ。。。
んでも、こういったゲリラ戦に対処しなきゃいけない時代なんですよね。
この中の「特定のリーダーがいない組織との争い」という言葉が妙に印象的でした。なんとなくこの事件を見て、テレビ版攻殻機動隊のモチーフとなっている「スタンドアローンコンプレックス」をイメージした人も多いのではないかと思います。攻殻機動隊の世界では人々は電脳というシステムを通じて、脳とネットをダイレクトに接続しています。その中である強力な意志、義憤がネットに存在したとき、その強力な意志の影響を受けて一見無関係に思える様々な人々がお互いに連絡を取り合うことなく一つの目的を達成するかの如く有機的に振る舞う現象を「スタンドアローンコンプレックス」と名付けていました。テレビ版攻殻機動隊は最近BDに総集編がまとめられるのでそちらもどうぞ。
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テレビ版攻殻機動隊の中では1stシーズンの「笑い男事件」、2ndシーズンの「個別の11人事件」と供にその多くの人々の電脳に影響を与えた一人の巨大な意志が物語のキーとなり、その人たちとの直接の対話を通じて事件は進展していったのですが、毎日新聞の件では特定のリーダーの強力な意志というような者は見えません。通常そのような場合は、核となる思想が存在しないため、そこまで騒動は長続きしないと思うのですが、事件が比較的長引いている状況を見ると2ch特有の文化的規約が絡んでいるように見えます。つまり、現在のインターネットでは強力な個人の意志が存在しないかわりに、あるコミュニティサイト内に文化が存在し、その文化がサイトの住人はこうするべきだという規範になることで、人々のモチベーションを維持しているのではないかと思うのです。なんとなくこの枠組みはトルコで、現在吹き荒れている政教分離を唱える人々とイスラム主義を全面に押し出した人々との憲法裁判所を巻き込んだ争いとの共通点を見ることが出来ます。
この運動がどれくらい続くのか、あいまいなコミュニティが集団としてのモチベーションを維持できるのか、そして最終的にどのような決着をみせるのかは非常に興味深く、注意深く見ていきたいと思います。