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AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

SONY前CEO 出井伸之の本を読んでます

最近、以下の2冊の本を読みました。

迷いと決断 (新潮新書)
迷いと決断 (新潮新書)出井 伸之

おすすめ平均
starsタイトルで期待しないで
starsビジョンと現実のギャップ。
starsプロ経営者も同時に普通の人間でもある。
stars迷っていない,信念の本
stars会社を経営することとは

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出井伸之 多様性への挑戦 (90年代の証言) (90年代の証言)
出井伸之 多様性への挑戦 (90年代の証言) (90年代の証言)五百旗頭 真; 伊藤 元重; 薬師寺 克行

朝日新聞社 2007-06-07
売り上げランキング : 149721


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内容としては、"出井伸之 多様性への挑戦 (90年代の証言) "がインタビュー形式で出井氏がCEOとしてSONYで成し遂げた仕事について、"迷いと決断"が出井氏自身の著作で、半分がSONYで行ったこと、半分がやりのこしたことについて書かれています。

この2冊を読んで、だいぶ出井氏の仕事について整理することができました。知っての通り、今のSONYはもはやエレクトロニクス部門の売り上げは半分程度になっており、その他は映画、音楽、ゲーム、携帯電話、金融の関連子会社があげるようになっています。この多角化を非難し、「SONYはエレクトロニクスに専念すべきだ」という批判をする人がいることも知っていますが、少なくとも映画、音楽、ゲーム、携帯電話はその分野で世界的にNo.1かそれに準ずる地位についており、そのようなことを成し遂げた企業は過去に日本において存在しなかったと思うので、その点を無視して批判を繰り広げるのは的はずれなものになりがちです。

出井氏の仕事の多くは、この超巨大企業となったSONYグループに如何に規律を取り戻し、権限委譲を行い、各グループがそれぞれ利益を上げられるように出来るかに注力したものでした。僕は、現在のSONYの多角化の成功は出井氏のマネージメント体制の強化と、エレクトロニクス部門の代表だった日本側の出井氏から音楽、映画部門の代表だったストリンガー現CEOにその経営を譲り渡すことで、アメリカ側にSONYはグローバル企業として日本にこだわらず優秀な人材を採用することを示すメッセージを送ったことにあったと考えています。

日経ビジネスに掲載されたストリンガー氏のインタビューで、ストリンガー氏が中国を訪問したときのエピソードが掲載されていました。ストリンガー氏が中国のSONYグループを訪問したとき中国の新入社員が近寄ってきて「中国人の僕もがんばればSONYのCEOになれますか?」と言ったそうです。ストリンガー氏はこう答えました。「SONYは努力次第でだれでもCEOになれるよ。」これを日本人CEOが言うのと、ウェールズ出身のストリンガー氏が言うのでは全く状況が違います。海外では、日本企業の閉鎖性について良く問題を指摘されますが、この辺りはなかなか興味深い点ではないでしょうか。

今から、以下の本も読むつもりです。

日本進化論―二〇二〇年に向けて (幻冬舎新書 い 3-1)
日本進化論―二〇二〇年に向けて (幻冬舎新書 い 3-1)出井 伸之

おすすめ平均
stars先を見据えた提言は読み応えありです。
stars経営者から見た日本社会へのメッセージ
stars出井伸之の歴史的評価とは?
stars日本が再び元気になるかも。
stars主張はわかるが

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このあたりを読んで、もう少しいろいろ考えてみたいと思います。