ドラッカーが最後に書いた著作であるネクスト・ソサイエティはドラッカーがこれから起きる変化に関する思索をまとめ上げた本であり、その巻頭でドラッカーは、「一つひとつの組織、一人ひとりの成功と失敗にとって、経済よりも社会の変化のほうが重大な意味をもつようにいたった」と述べています。
ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる | |
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この本の中で、ドラッカーは、以下の点などを社会構造の変化要因としてあげていました。
- 若年人口の減少
- 労働力人口の多様化
- 製造業の変身と企業とトップマネジメントの機能、構造、形態の変化
- インターネットの登場
しかし、実際にこの変化は実生活でどのような影響となって見え始めているかという部分がわかりにくかったと思います。その部分を補完する本として、最近読み終わったマーク J. ペンの著作である「マイクロトレンド 世の中を動かす1%の人々」がかなりお勧めできるのではないかと思います。
マイクロトレンド―世の中を動かす1%の人びと | |
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この本の中で、男女の関係、親と子の関係、仕事などに現代のアメリカの先端でどのような動きがあるかがまとめられているのですが、例えば男女の関係についてを見てもなかなか面白いです。
たとえば、マイクロトレンドでは、現在、未婚女性が多くなっている理由に性の多様化によるゲイの増加をあげています。アメリカでは男性の6.2%が同姓のパートナーとつきあったことがあるそうです。この同姓のパートナーとつきあったことがある比率が女性は3.6%となっており、比率としてアメリカでは2:1の割合でゲイが多いことになります。社会全体で考えれば女性と男性の比率は51:49で女性の方が多いのですが、このゲイの要素を含めて計算すると、ストレートの男性と女性の比率は53:47となるそうです。これってかなり大きな未婚の原因となりますし、少子化の原因の一つにもなりますよね。この未婚の女性の増加に合わせて「クーガー」と呼ばれる年下男性を狙う年上女性の存在があり、なかなか一筋縄ではいかない現代の男女の関係の姿が見えています。
「マイクロトレンド 世の中を動かす1%の人々」で取り上げられている題材はどれも直感的にはなかなかわからない部分を統計的に丁寧に説明しており面白いです。マイクロトレンドは社会の大きな変化というより、マイクロトレンドを読むとなかなか直感的には理解できない小さな潮流が社会には存在して、それが複雑に合わさって現代社会という一見大きな流れに見えるものを形作っていることが感じられます。
しかし、以下の極東ブログの書評にもあるとおり実はマイクロトレンドの原著は75個のマイクロトレンドがあげられているらしく、しかもその中でもおもしろそうな宗教、政治関連のトピックが抜けているようなので、そこはちょっと残念かなという気もします。