Zopeジャンキー日記経由で知ったテレビ東京のドキュメンタリー「博士たちのワーキングプア〜ひとコマ2万5千円〜」ですが、視聴してみました。
ドキュメンタリーの最初で登場する元医学部、京大博士過程単位取得退学、現在非常勤講師の方の研究領域が「中米ニカラグアの歴史」でした。ナレーションで「このように研究に時間をかけても、研究は理解されにくく就職でプラスになることはありません」という説明が入りました。確かに「中米ニカラグアの歴史」は研究の意義がよくわかりません。しかし、なかなかこの人の言葉には含蓄があります。
- 自分からみてもだからどうしたという研究はあるが、裾野がないと学問はだめになる
- 客観的なデータだけみると非常にみじめな暮らしをしている。
- 結局なんとかなると思っているから、なんとかなる。あきらめたり、絶望するとうつ病になる。
- 拡大解釈で引っかかる研究職の公募には全て出す。競馬でも買わないと当たらない。
どうもドキュメンタリーを見るかぎり、この人は博士号を取っていないようです。博士号を取っていないということは、僕が修士の時にいた生物系の研究室だと基本的には研究者になるための免許を取っていない扱いを受けます。これはパーマネントの仕事を見つけるのは相当しんどいかな、と感じました。もちろん博士取ったからといってパーマネントの仕事があるわけでもないとは思いますが。
全体を見た感想としては、ちょっと論点がわからないドキュメンタリーでした。まず、情報系、工学系の博士であればそれなりの実力があれば就職が出来ないということはまずない、というのが正直なところです。研究をこなせる優秀はITエンジニアはどこの会社でも圧倒的に不足しています。大学、研究所のパーマネントの研究職にこだわると難易度はぐっと上がりますが。そして、このドキュメンタリーで問題にしている社会的に基本的需要がない文系の研究職ですが、逆にこの文系研究のパーマネントはこのドキュメンタリーくらい競争が厳しくないとおかしいと思うんですよね。生半可のレベルの研究で「中米ニカラグアの歴史」というテーマに資金が投下されても困る訳です。
そんなわけで、まぁ、これくらい競争が激しくてもしょうがないかなと感じました。そんなことを考えていたら、Zopeジャンキー日記でこの件の対策に関するエントリーがあがっていました。
上のエントリーではこの問題の対策を就職、起業、転身サポートで論じています。ちょっとよくわからないのですが、このドキュメンタリーに登場していた人たちって就職とか起業とかする気あるんですかね。文系の大学研究職以外に基本的な興味がないのでは。この自分の専門領域を半分飛び出し転身するっていうことを、ITやシステムとしてどれくらいサポート出来るかというのは確かに面白いテーマです。ちょっとクラウドソーシングが関係しているのかも。日本でもアポロンというクラウドソーシングサービスがスタートしていました。今度、時間があるときに考えてみようと思いました。