愛読しているインサイターさんの昔のエントリーでユニクロのちらしに関するエントリーがあり、たしかにユニクロの広告チラシってあまり格好良くないなという印象を持っていました。
週末の新聞に折り込まれた、紳士服のアオキのチラシと全く大差ないクオリティのユニクロのチラシを見て、ユニクロというブランドの弱点は新聞チラシだと思った。
別にアオキのチラシがひどいということじゃない。むしろアオキのチラシのクオリティは年々アップしている。そうではなくて、ユニクロックだとかUTだとか佐藤可志和だとか、世界に通用するクールなブランド作りに熱心なユニクロが、一番購買に直結するはずの肝心のチラシに注力していないのは如何なものか、ということだ。競合である無印良品はチラシにまで原研哉のセンスを行き届かせているからなおさらだ。
で、この前カンブリア宮殿でユニクロの柳井正社長が特集されており、そこで柳井正社長がユニクロの新聞チラシは社長直轄で作成しており、最後の最後まで柳井正社長のチェックを入れることを語っていました。特にそのとき柳井正がチェックしていたのが、チラシに掲載される目玉商品の価格で「チラシはラブレター」と言って、広告チラシの重要性を語っていました。
ここで「ユニクロと柳井正社長にとってUNIQLOCKを他の人に任すことはできても、チラシは他の人には任せられない一線なんだな。」と思いました。UNICLOCKがユニクロにとってブランド価値の増大という意味でどれだけ貢献したかは今まで多く他のblogでも語られきましたが、ユニクロのチラシに関して分析出来るブロガーはそれほど多くはないと思います。ただ、ちょっと考えてみると社長が直々にチラシを作る意義はかなり大きそうです。
一般社員にチラシを作らせると「2000円のこのセーターを今回は思い切って1000円で行こう」という決断をするために、ユニクロのような直営店を多数抱える企業ではものすごい調整作業が必要になります。生産管理から、各地域マネージャーへの根回し、流通への伝達までいろいろ雑多なコストが発生しそうです。ただ、大企業では特にそうなのですが、社長が「このセーターを1000円にして今回のセールの目玉にしろ」という指令を出した場合、業務の効率性が桁違いに上がります。特に柳井正社長のようなユニクロ社内でも信者が多いと言われている神格化された社長の指令であれば、大企業には優秀な管理職がたくさんいますので、文字通りその人達が「何とかしてしまう」のです。もちろん老害化のリスクは常にありますが、一度社長を辞めているだけにその辺りの判断も的確でしょう。
この辺りにも柳井正社長が直々にちらしを作る意義がありそうだなと感じました。UNIQLOCKの会議では佐藤可士和の意見を後ろで聞いているだけだったのと対照的にちらしのチェックでは柳井正社長は本当にイキイキとしていたので、こういうリーダーシップもあるのだと感じた次第です。