現状最もライフスタイルを変えたと思われるiPodの成功を見直す上でスティーブン・レヴィの「iPodは何を変えたのか?」を読みました。
iPodは何を変えたのか? | |
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この本の中で一番おもしろいところを挙げろと言われたら間違いなくスティーブ・ジョブスがどのように音楽レーベルのトップマネージメントを説得したかです。ちょっと箇条書きにしてみましょう。
- 最も影響力のあるアニメスタジオ「ピクサー」のCEOでもあるスティーブ・ジョブスのミーティングを断ることのできるレーベルのトップマネージメントはいなかった。他のコンピュータ、ソフトウェア業界のトップ、ベンチャーのカリスマ経営者でもこのようにはいかなかっただろう。
- ジョブスの辞書に2流という言葉は存在しない。自らのミュージックストアを2流としないため、初めからUSAの5大レーベル全ての楽曲を販売することを前提に行動していた。ソニー・ミュージックさえも彼の交渉リストに初めから含まれていた。(この本に出てくるSONYストリンガーCEOはとても滑稽に描かれている)
- iTunesはスタート時点ではMacしかサポートしていなかったので、「どんなに普及してもこのサービスのシェアは全PCユーザの5%である」という理由が存在した。ユニバーサルのトップ、ダグ・モリスは「アップルがマックで一年音楽を配信したぐらいで、音楽産業全体が破滅するわけないだろ。一度やらせてみろよ」などといっていた。業界の巨人ユニーバーサルを説得できれば他のレーベルは基本的に右に倣えだった。さらに業界のカリスマの何人かはアップルの熱烈なファンだった。
- iTunesが完全に成功した後、WindowsにiTunesを展開する際、アップルのWindowsへの展開を断ることは、すなわち「ユーザに正規に曲を購入できる機会の提供を断る」ことを意味する。そのような汚名をかぶることはクールを売り物にするレーベルにとっては不可能だった。
どれをとってもとてもおもしろいトピックです。iTuensというライフスタイルを変えることの出来るシステムが構築できたのは本当に奇跡に近いことだったのだなと思いました。