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未踏的プロダクトを活かすにはソーシャルなエンジニアリングスキルも重要ですよね

id:shi3zさんが5回に渡り展開してくれた未踏に関するエントリーはかなり読み応えのある内容でした。

ついで上記に対するid:shi3zさんなりの回答として、未踏的人材を育成するカリキュラムが論じられている。

それに対するid:mkusunokさんの返信も面白い。

今年、未踏を体験した自分の目から見てもid:shi3zさんの話はずれてないと思います。各ステージにおけるアドバイスが端的にまとめられているので、未踏にトライしようと思っている人は読んでおいて損はないです。ただ、ちょっと記述が間違っている箇所があって、

未踏に挑戦できるのは人生でたった二回だけ。
そして一回でもスーパークリエイターに認定されれば、二回目はないのだ。
スーパークリエイターに認定されたときの研究テーマが、その人の一生を決めてしまうのである。

ここの部分はちょっとだけ補足説明が必要で、未踏本体に一度でも採択されたら、スーパークリエイタの認定に関わらず2度目はありません。この辺りに要項は以下をどうぞ。

これまでの未踏ソフトウェア創造事業において、開発者(共同開発者として開発代表者と同程度プロジェクトに参画された方を含む)として採択されていないこと。
また、未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)の天才プログラマー/スーパークリエイタと認定された方についても既に発掘・育成がなされ、未踏本体と同様の資格を持つ者として採択はできませんのでご応募はご遠慮下さい。
天才プログラマー/スーパークリエイタ以外の未踏ユースの開発者については、ご応募可能ですが、既に一度採択された者と一度も採択されていない者(新規応募者)とが同等評価で採択または不採択を争った場合は事業の主旨に沿って新規応募者の採択を優先させていただきます。

基本はid:shi3zさんの理解で問題ないのですが、詳細がちょっと違うのでユース出身の方は気をつけた方がよいと思います。上の説明文を読む限り準スーパークリエイタの方も採択は相当難しいでしょう。

さてさて、未踏に採択されある程度プロダクトが完成した者がたぶん共通して悩むことがあります。それは、自分が作った未踏的プロダクトをどのように浸透させれば良いのかということ。現状の未踏を見ると、未踏によってかなりエンジニアの人材発掘は行われていると思うのですが、ではそのプロダクトを利用して何かを成し遂げた人がいるかと言われると、その後のベンチャーの基盤技術にはなっているものの全体的にかなり弱い印象を受けます。それもそのはずで未踏的プロダクトを浸透させることは、情報科学的スキルと全く異なるソーシャルな方のエンジニアリングスキルが必要なんですよね。この辺りの事は最近「iPodは何を変えたのか?」を読んで、実感しました。

iPodは何を変えたのか?
iPodは何を変えたのか?上浦 倫人

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僕が近年で最も革命的なプロダクトだと思っているiPodとiTunesを産んだのは、エンジニアリングスキルもさることながら、どちらかというとジョブスのソーシャルな方のエンジニリングスキルである「何とかしてしまう力」なんですよね。全体的にナイーブな感性を備えがちなエンジニアでは、いくら素晴らしいプロダクトを作っても、その開発者の開発力を青田刈りしようとする海千山千の方々に利用されてしまうのが関の山かと(ソフトウェアはたぶん使われないでしょう)。そういう意味では、自分の開発力とは他にソーシャルな方のエンジニアリングスキルもしっかり鍛えていくことが必要だなと考えている次第です。