先日のエントリーは読み返してみて、恥ずかしいくらい感情にまかせたエントリーでした。
そこまで怒りっぽい方でもないのに、何でこういうことを書く気分になったのかをちょっと考えてみましたが、最近僕が抱いてるシリコンバレー在住コンサルティングの発信するメッセージに対してかなり強い懐疑心を抱くようになってしまったのが原因なのではないかと思いました。
最近のシリコンバレー在住コンサルティングの言説
はてな界隈でシリコンバレー在住コンサルティングと言えば渡辺千賀氏、海部美知氏、梅田望夫氏などが有名なのではないないかと思います。最近、目についたこの方達の主張と言えば、以下のようなものでした。
- パラダイス鎖国、日本のガラパゴス化 (海部美知氏)
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- 「日本語が亡びるとき」を大絶賛 (梅田望夫氏): 水村美苗「日本語が亡びるとき」は、すべての日本人がいま読むべき本だと思う。 - My Life Between Silicon Valley and Japan
日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で | |
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[追記]ポッドキャスト内でガラパゴス化について語ってみました。よろしければご試聴下さい。個人的にガラパゴス化はかなり良い問題提起だったと思ってます。
どうして感情的になってしまったのかの分析
上記のようなトピックが投稿されてきたなかで、渡辺千賀氏が以下のようなエントリーを掲載しました。
これまでずっとなるべく言わないようにしていたのだが、もう平たく/明快に言うことにしました。
1)日本はもう立ち直れないと思う。
だから、
2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。
これまでは、1)は言わずに、2)だけ言ってきた。で、「海外で働く」の中でも、私が知っている「シリコンバレーで働く」ことの楽しさ、働くための方法をなるべく具体的に紹介するようにしてきた訳なのであるが、前半も言うことにしました。その理由は、若い人に早く気づいて欲しいから。年を取ったら駄目、というわけではないが、扶養家族が増えて、引退までの年数の方が働いてきた年数より短くなってきたりすると、みるみると進路変更は大変になる。ところが、多くの人が「もはや国内に機会はない」と気づく頃には、そういう「進路変更大変状態」になってしまっていることが多い訳です。
ある意味、今まで問題提起を繰り返してきたシリコンバレー在住コンサルティングの中でも最終兵器とでも言うべき意見です。上のような意見の後に接するにはかなりヘビーなものでした。読んでいて口がふさがりませんでしたが、最後に以下のような書き込みがあり、かなり感情的になってしまったのだと思います。
もちろん、上述した通り、日本は貧富の差が広がりつつあるし、今後もどんどん広がると思うので、「日本で勝てる!」と思う人は、是非国内でその道を邁進してください。誘拐には気をつけてね。
思い返してみれば、「誘拐には気をつけてね。」など、特に怒るような内容でもないのですが、ある意味仕事として、日本に問題提起を繰り返している人に、ここまでおちょくるようなことを言われていいのか、という気持ちもあったかと思います。まぁ、そんな訳で、以下のようなエントリーを書いてしまった訳です。全くお恥ずかしい限りです。
ポジショントークに対する考え方
最近ポジショントークについて、ちょっと接し方が変わる意見に触れました。
まずは、Twitterを眺めていたら見かけた、及川卓也さんの以下のようなエントリーです。
ある行動をとった人がいて、それが邪推すれば、その人のあるビジネスにマネーとして還流することがあるかもしれないというだけの理由で、その人の行動をビジネスのためだと決め付けてしまうことは、その人の行動の価値を適切に判断することにならないのではないかと思う。以前そうされた被害者として
また、以下のようなエントリーが広告βさんからありました。
私はここで、ポジショントークでもいいではないか、という視点を提供したい。問題は、ポジショントークかどうかではなくて、ポジションがよくわからないまま情報が出回るということではないだろうか。冒頭にもどると、購読していたニュース誌のスタンスがわかってさえいれば、その偏り補正は受け手の私が引き受けるということである。受け手の私からすれば、複数の異なる立場から主張される、あるトピックに関する意見を眺めることで、自分の中である程度の客観性をたもつことはできるかもしれないからだ。
二つとも、ポジショントークをポジショントークとだけ捉えるよりも情報に対する心構えとして、3歩は先に行っている意見だと思います。非常に勉強になりました。
シリコンバレー在住コンサルティングのポジショントークに日本のエンジニアはどのように向き合うか
長くなりましたが、話をまとめると、僕たち日本在住のエンジニアは、シリコンバレー在住コンサルティングの意見にしっかりと耳を傾ける必要があるという事です。ポジショントークをポジショントークだといって切って捨てるのは非常に簡単ですが、改めて考えてみるとかなりナイーブな態度です。意見を発信する人の立場をしっかり認識した上で、客観的な判断が難しい場面においても意見をかみ砕いていくような態度を心がけるという辺りを意識する必要があると思いました。
(書いてみて思ったのですが、あんまりエンジニアと関係ないエントリーになってしまいました。まぁ、でも自分が日本在住のエンジニアなので、自戒も含めてこのタイトルにしておこうかと思います。)
[追記]切込隊長のエントリーが面白かったです。あまりポジショントーク云々とかの話は書くものではないですね。
結論を先に言うと、それはポジショントークじゃなくて、ミッショナリーによるプロパガンダでしょう、というお話。梅田望夫氏の言説や、gamella氏が例示した一連の流れは、それぞれ個人のオリジナルというより、米・民主党系と新自由主義のアイノコのようなプロパガンダに近しい内容を踏襲していると考えたほうが良いかなと。
考えてみると誰も得のしなそうなトピックだし、いたずらに人を傷つけるだけだと思うのでポジショントーク云々はもう止めて、何か意見がある場合は具体的な提案に対して反論をするようにしたいと思います。