FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

日本のコンテンツの消費スピードが世界最強のサブカルチャーを育んだ

今、話題の梅田望夫氏のインタービューですが以下のセリフが最も印象的でした。

サブカルチャー強いよね、日本は。それも全然否定してないよ、日本のサブカルチャー。日本発グローバルでさ。ただ僕自身がサブカルチャーはそんなに……。僕は漫画読まないしアニメみないしさあ。志向性がちがうだけで。

このセリフはなかなかすごいです。他のインタビューのどの部分もよくわからない内容でしたが、このサブカルチャーの部分はちょっと考える価値があるなと思ったので、この辺りをちょっと考えてみたくなりました。昨日のエントリーのちょうど以下の部分と関係しているトピックです。

最近のWebベースのコンテンツ消費スピードはすごいです。いろいろなコンテンツが作られてはかつてないスピードで消費されていきます。このコンテンツの消費スピードが速すぎるため、現代はたくさんのコンテンツを一気に消費することが可能になっており、現代ではどのようなコンテンツも少しでもおもしろければ注目され、ブログやはてなブックマークやYouTube、ニコニコ動画などで一瞬で消費されつくしてしまいます。現在のTumblr.やTwitterに代表されるストリーム型のメディアはこの傾向にさらに拍車をかけ、おもしろく大衆受けをするコンテンツであれば、それが注目されないのはもはや情報発信者の怠慢なのではないか、という状況になっています。

日本のWebサービスはコンテンツ大量消費環境を育んでいる

この日本のサブカルチャーの強さと今のはてなブックマークやニコニコ動画の状況は密接にリンクしています。それは日本は大量のコンテンツの如何に面白く消費できるかという方向にWebサービスが進化する傾向があるからです。Pixivしかり、はてなブックマークしかり、ニコニコ動画しかり。今、日本で20代から30代の男性に人気のあるWebサービスは全て大量にコンテンツをおもしろく消費できることにこそ価値があり、その部分に注目されています。

たとえば、はてなブックマークはブログエントリーやニュースを如何に面白く読むかというためのプラットフォームです。ディープなはてなユーザの多くは人気の記事を見た後にすることはブクマコメントを読むことです。そこには肯定からバッシングまで百花繚乱の意見がひしめいています。その百花繚乱の意見を見ることでブログのエントリーやニュースを再度楽しむ。ブックマーク内でたまに論争が発生して、それをさらに楽しむというかなり高度なコンテンツ消費ツールになっています。同人サークルや職人、プロデューサが技を競い合うPixivニコニコ動画がイラスト、動画においてそのような位置にあることはいまさら言うまでもありません。

過酷な競争環境こそが最強のコンテンツを作り出す

過去においても日本の大量コンテンツ消費環境が日本のサブカルチャーを鍛えました。だれがなんと言おうとフェアで過酷な競争から作られるコンテンツは強力なのです。マンガやアニメ、ゲームという市場において日本市場ほど過酷な競争が繰り広げられる市場はありません。そこで生き残った物が世界に通用するコンテンツになるのは当たり前です。ハワイのウォルマートに行ったときに他の全米ベストセラーに混じってNARUTOのマンガとポケモンのカードゲームがその一角を占めていたことは伊達ではありません。この二つは日本の最も過酷で最も競争の激しいサブカルチャー市場が産み出した至宝とでも言うべきコンテンツなのです。

なので、梅田望夫氏はそれほど悩む必要はありません。梅田望夫氏も尽力して作り上げた「はてなブックマーク」はこれからの日本のサブカルチャーの未来を支えるフェアで過酷な競争環境を作り上げる土台となっているのですから。そこに知識人の英知が結集されないことを嘆くより、現代日本の次のサブカルチャーを育てる大きな土壌となったことを誇ってもいいのではないか、そんなことを感じました。