今から20年ほど前に「ファミマガ」で描かれた2010年のゲーム予想漫画ですが、これおもしろいですね。
上記エントリーで取り上げられていた以下の4つの進歩ですが確かに当たっているような気がします。
- ほとんど映画品質のアドベンチャーゲームを遊べる据え置き機。コントローラはワイヤレス。ソフトは厚さ1ミリのカードサイズ。
- テレビが見られる携帯ゲーム機。対戦もケーブルなしでワイヤレス。
- ソフトはすべて電話回線で購入可能。
- パワーボディを装着して、身体の動かし方によってゲームのキャラが同じ動作をする。
そこで、なんで当たったように感じたのか考えてみました。ポイントは未来が当たったという事実ではなく多くの人が当たったと感じたことな気がします。
日本人ゲーマーが描いた未来は日本人によって作られた
上記エントリーで取り上げられていた4つの進歩ですが、その一つを一つを見ると実は10年ほど前からその萌芽があり、それが現在完成系に近づいてきている特徴があります。
映画品質のアドベンチャーゲームという方向性を決定づけたのは、据え置きゲーム機の高スペックの方向性を決定付けた、当時としては明らかにオーバースペックだったプレイステーション2であり、発売は2000年です。テレビが見られる携帯ゲーム機はPSPのワンセグチューナーが発売されたのが2007年です。ついでにこの機能は当たり前ですが、ワンセグのない海外では実現できていません。ソフトは全て電話回線で購入可能というのは初期ではスーパーファミコンが1995年から衛星データ通信を利用してソフトの配信を行っていました。最後にパワーボディはプレイステーションのEyeToyが2004年に発売され、身体の動きをカメラで取得してゲームに活かす方向性が特に海外では受けることが証明されました。
こうやって見てみると、実現されていることの多くが日本が関わって産み出されたことに気付くはずです。アラン・ケイの「未来を予測する最善の方法は、それを作り出すことだ」というセリフではありませんが、上の未来は日本人が作り出した物です。このゲーム雑誌は未来を予想した訳ではなく、このゲーム雑誌に掲載されていた未来を日本のエンターティメント企業が作り出していったのです。
たぶん欧米のゲーマーが描いた未来も実現されている
何となく思うのは、たぶん海外の人が思い描いていた未来もきっとだいぶ実現されているのではないかということです。
例えば多くの海外のゲームユーザは恒久的に遊ぶことの可能な、非常に完成度の高いオンラインゲームの未来を夢見ていたでしょう。その夢はWorld of Warcraftという世界で最も完成度の高いほとんど恒久的に遊び続けられるオンラインゲームが完成することで達成されました。もしくは、DOOMが発売された1993年からきっと256人のような大人数で一緒にリアルタイム対戦を行うような未来を夢見ていたかもしれません。その夢もまた「MAG」という256人のオンライン大規模対戦でかなえられようとしています。
ゲーム産業のようなエンターティメントを提供する市場において、人々が思い描く未来を作るというのは王道なのです。多くのクリエイターがみんなが期待する未来に対して力を投入するのは自然なことであり、そのような未来はきっと想像された時間のスケールで達成されていく、もしくは達成されているように感じるのはではないかと思います。
次の20年について
さてさて、こうやって過去を振り返ると確かに多くの夢は達成された気がしますが、今後20年を予想することはできるでしょうか?
20年となるとちょっとロングスパンすぎますから10年くらいで考えてみた場合、僕の感覚ではゲーマーが描いている未来はたぶん達成されていく気がします。例えば、モンスターハンターで256人で大規模狩りを行う。携帯ゲーム機でさえも映画と区別がつかないようなゲームが実現される。MGSが映画のクオリティを超えてしまうなどのゲーマーが願う未来です。この辺りは非常にわかりやすい欲望なので、今のゲーム機の進歩の延長戦上に位置します。たぶん、海外のゲーマーの欲望は海外のクリエイターがかなえてくれるでしょう。それがエンターティメントを作り出す会社の存在意義だからです。
反面、ゲーマーではない人が描いた未来は簡単には実現されないと思います。そのかわりに任天堂がその人たちが想像もしていなかった娯楽を提供してくれるでしょう。任天堂には描かれていない未来を作り出す稀有の力がある偉大な企業ですから。この辺りの任天堂のすごさは以下の本などをどうぞ。
任天堂 “驚き”を生む方程式 | |
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美学vs.実利 「チーム久夛良木」対任天堂の総力戦15年史 (講談社BIZ) | |
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