一昔前CanCamの紙面に「めちゃモテ」のキャッチフレーズが躍っていたころ、それに対抗するようにJJの紙面に「愛され○○」(○○はスタイル、ガール、グッズ、ファッションなどが入る)というキャッチフレーズが載っていました。
現在、JJのキャッチフレーズといえば「恋☆勝○○」(○○はスタイル、ガール、グッズ、ファッションなどが入る)という、結構肉食な方向に舵を切っているのですが、今思えば「愛され」って、女性誌よりも家電とかデジタルグッズの男のモノ系の雑誌においてこそ重要なキーワードだと思います。
リコーの作る愛されるコンパクトデジタルカメラ
GR DIGITAL IIIが発表されときに、Twitter上で何人もの人が歓喜とお金があるか心配する声をあげていました。
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例えば、それは以下のセリフにも現れています。
樋口:ただ、我々としてはできるだけGRシリーズを長く使っていただきたいと思っているので、「一度発売したら終わり、次が出たら買い換えて」ではありません。今回も、GRD IIIの新機能の中で、GRD IIでも搭載できる機能については、ファームアップで対応してます。長く使ってください。
やっぱり、すぐに古くなるモノには愛着が持てませんよね。使い捨てではなく、長く使えるものだからこそみなさん愛着を持って接してくれるのだと思います。そもそもリコーのデジタルカメラに対する姿勢は他のメーカーがスペック重視に走るなか、画素数を抑え感度を上げたり、レンズをものすごくこだわってみたりと、かなり特殊です。これは、価格にも反映されており、僕が利用しているCanonなどのデジカメと比較するとかなり割高です。それでも、かなりの人に愛されているところをみると、リコーの長く愛されるものをつくるという戦略はイメージ的には成功していると思います。売上やシェアでCanonに対抗するのは難しいなか、このような戦略で活路を見出すのは見事です。
携帯されるデジタルグッズが愛されるとそれ自体が広告塔になる
iPhoneを見ていて思うのは、これほど愛されているプロダクトも少ないだろうなというくらいの愛されっぷりです。いや、使ってみるとたしかにいろいろ困る点、いけてない点も見つかるのですが、iPhoneには数多くのアプリがあり、それを自分なりに選んでインストールしていくことで、iPhoneが自分だけのモノになっていきます。この過程が、モノを愛していく過程に直結しており、iPhoneは少々使い込むことで、非常に愛されるグッズに変わります。
一度、愛されてしまった携帯可能なグッズは、それ自体が他の人に自慢したり、人に自分が見つけたガジェットを見せることにつながりますが、その人とグッズ自体がある種の広告塔になります。このような立場になると、今後も継続的に購入してくれるユーザが期待でき、口コミも広がっていきます。
このプロセスが非常にデジタルグッズにおいて大事だと思いました。
まとめ
デジタルグッズを以下に「愛される」ようにするかの重要性について考えてみました。個人的な感覚としては、
- 愛着が発生する「愛される」プロセスを準備、設計しておくこと。ここが一番難しいところですが。
- 「愛されるグッズ」として人に自慢できるデザインにすること。でかいものとか、ごついとやっぱり愛されるのは難しいかもしれません。
- 提供する側も「愛される」だけの条件をそろえること。長く利用でき、デザインが変わらない。ファームウェアなどが継続的に上がる、など。
が重要なのかと思います。今後、デジタルグッズは「愛され」という観点からちょっと注目していきたいと思います。