勝間氏と香山氏の討論会がアエラで企画されており、興味深く読んだ。
勝間 香山さん、家事は好きですか?
香山 好きじゃないです、全然。
勝間 私、好きなんです。洗濯物がパリッとなったり、お皿がピカピカになったりするプロセスが大好き。自分の行動で物が変化するって、楽しくないですか。だから私、ご飯を食べて「ああ、おいしい」と思うだけで毎日が幸せです。今日も昼間、子どもの友達とお母さんたちがうちに遊びに来たんですが、デリバリーでとったサンドイッチがおいしくて、幸せでした。
香山 ご飯で幸せになれるんだったら、別に仕事で成功したり、資産を増やしたりしなくてもいいんじゃないですか。
勝間和代氏と香山リカ氏の主張の理解
僕は勝間氏をいろいろネタにはしているものの勝間氏のスタンスは基本的には支持している。特にPodcastで好き勝手言っているが、要は勝間氏の基本スタンスは「独立することはは幸福である」というスタンスなのだ。そのあたりは福沢諭吉先生の「独立自尊」の精神と似たような部分があり、そういえば勝間氏はセンパイだったかなどと思う次第。
そのあまりにもエキセントリックな表紙でおなじみの「断る力」や「銀行にお金を預けるな」でも、基本的には「独立することは幸福である」という理念が根底にあると思う。そもそもインデベンデントな生き方ガイドなんて本も出しているし。
この概念から行くと専業主婦という生き方は全く勝間氏の根本に反する。派遣社員も可能ならば早く脱出すべきだ。何故なら年収600万円を自分の力で稼げる状態になることが勝間氏の独立の条件なのだから。このような理解があると、香山リカ氏の前提とする幸福と勝間氏が前提とする幸福に余りにも差がありすぎることに気づく。香山リカ氏が訴えていることのベースは「別にがんばらなくてもいいじゃない」であり、勝間氏が訴えていることのベースは「独立へのがんばり方」なのだから。香山リカ氏の説く「ふつうの幸せ」が勝間氏にとっては「独立することは幸福である」ということなのである。
そんなわけで、たぶん議論とか絶対に噛み合わないだろうなあーと思ってよんでみたら想像以上に噛み合ってなくて笑ってしまった。
対談は基本的には茶番です
対談での香山リカ氏の主張は「空費をしてもいいじゃないか」、「そこまでがんばる必要ありますか?」、「何のために働いているかなんて考えない方がいい」などといったものだ。それぞれの主張の回答を勝間式に「独立することは幸福である」という前提条件を踏まえて考えると「別に空費をしてもいいですよ、独立していれば」、「がんばることは目的じゃありません。独立することが目的です。」、「独立するための手段として働くという選択肢があるんです」となる。
香山リカ氏はこの勝間氏のベースにある「独立することは幸福である」という考えに気付いており、自分も大学教授という形でそれをある程度体現しておきながら、そのテーマには目を向けず、その独立することの方法にすぎない部分の問題点を問う。
はっきり言ってしまえばこの対談はわざと主眼をずらしたテーマを振る香山リカ氏に対して「独立することは幸福である」という自分のベースを使ってばっさり香山リカ氏を切らない勝間和代氏との茶番なのだ。
まとめ
そんなわけで、最後にはノブレスオブリージュまで出てくる本当にどうでもいい対談だったのですが勝間氏へのからみ方としては非常に秀逸であり、これでお金を稼ぐという手法は非常に新しいと思うので、その点で購読する価値はあると思います。
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