J-CASTの以下のニュースを見たときに、朝まで生サブカルパジャマトークを行う前、恵比寿のもつ鍋屋で飲んでいたときに、最近の50過ぎのおやじがすぐにFREEのネタを語りたがるという話でもりあがったのを思い出した。
まず、上のニュースで書かれているように無料購読キャンペーンが本の全体的な購買を押し上げることになるとは、僕は思っていない。あくまでFREEはロングテールを提唱したクリス・アンダーセンの語り口のわかりやすさ、いままで誰もが感じていたけど、言語化されていなかった現象に名前をつけたことが多くの人に評価され売れたんじゃないでしょうか。データがないでもなんとも言えないけど。
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さて、「何でFREEを読んだ後、50過ぎのおやじでもFREEについて語ってしまうのか」の理由を考えてみると、個人的にはたぶん「ガラパゴス化」と言葉の広がりと同じ理由なのではないかと思う。
「ガラパゴス化」という言葉のの広がり方
「ガラパゴス化」という言葉がネットに広く登場したのは、僕の記憶では2007年の中島聡氏の以下のエントリーが最初だったと思う。
その後、2008年くらいに海部美知氏の「パラダイス鎖国」、野村総合研究所レポートの『「ガラパゴス化」する日本』あたりで一気に世間的認知度があがった。その後、ガラパゴス化という言葉があまりにもコモディティ化し、2009年では戦略コンサルタントの間でガラパゴス化という言葉の理由が制限されている、などと言ったまことしやかな噂も聞いた。で、最近だと「超ガラパゴス戦略」のような意味のわからない言葉まで登場している始末。まさに使い尽くされた言葉だと思う。
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FREEの何がおやじの心を掴んだのか
では、FREEはどうしておやじの心を掴んだのか。この理由を、僕は、はじめて世のおやじたちがGoogleという会社の成功を自分達が納得できる形で説明してもらったから、なのではないかと考える。どうしてGoogleがあのような成功を達成したか、ということを今までおやじたちにわかりやすい形で紹介出来た本はなかった。
というのも、「サ・サーチ」のようなGoogle本はすべてGoogleの成功に着目し、その革新的な会社のカルチャー、開発システムなどを説明した。しかし、その成功の理由を説明することはできても、なぜそれを社会が受け入れたかを説明できていなかった。ものを売るというわかりやすい製造業と比較して、Googleが社会に受け入れられる理由がおやじにはイマイチわからなかったのだ。だが、FREEはその部分を、いままで全く違う角度から説明した。なので、おやじたちはFREEに喰いついたのではないかと思う。
というわけで、今後、FREEという言葉は「ガラパゴス化」と同じようにIT分野で流行るんじゃないでしょうか。ただ、FREEで説明された「フリーミアム」という言葉はその現象を説明しているだけで、成功を約束してくれるような魔法のマーケティングではなく、むしろ既存の企業には焦土戦になってしまう可能性の方が高そうなので、注意は必要かと思います。