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App Storeのグラビアアプリ強制削除が如何に画期的な出来事か

AppleのApp Storeからグラビアアプリが強制削除されたようです。

Twitterを見る限り、グラビアアプリを作成している開発者にとっても寝耳に水の話のようで、軽く阿鼻叫喚の状況でした。fladdictさんなどが早速見解を発表しております。

大きく考えて、以下の3つが考えられる。

  • iPadで性的電子書籍コンテンツが氾濫することへの予防策
  • 教育端末として導入する場合のリスクコントロール
  • イスラム教圏と中国等でのiPhone, iPadの販売に対する配慮

この出来事がどのよう意図を持つかは他のブログも語っているので、この出来事の違う側面に注目してみたいと思います。

App Storeのグラビアアプリ強制削除が如何にコンテンツプラットフォーム業界にとって画期的な出来事か

個人的にはグラビアアプリを削除したことよりも、「一度許可したアプリを再審査でだめにして、ストアから消す」というプロセスを行うことにびっくりしました。XBOXやPSプラットフォームはディスク販売を行っているので、一度許可したアプリを再審査でだめにするということは基本的にできません。なぜならアプリはディスクで市場に出荷されていおり、それを物理的に削除するというのは限界があるからです。ただ、iPhoneのような、ネットからの販売オンリーだとアプリが残るのは、ユーザのiPhoneとiTunesの中だけですから、禁止したアプリの拡散を心配する必要がありません。
これは、プラットフォームの性質を一気に変更ができる極めて強力な武器です。というのも、普通コンテンツプラットフォームは一度その市場を形成したら、そのプラットフォームに一度着いた色が最後までついてまわるからです。例えば、セガサターンはその中期においてテコ入れのために18禁タイトルを展開しました。この18禁タイトルの展開というのは、コンテンツプラットフォームにとって諸刃な剣で、少なくとも18禁コンテンツが流通するプラットフォームのゲーム機を小学生の親御さんは買わないと思います。なので、将来的なことを考え、かなりプラットフォームはそのコンテンツの色を保守的に設計します。
しかし、Appleはあろうことか、グラビアアプリを全部ストアから削除するという方法を用いて、自分のコンテンツプラットフォームを再定義しました。これは、過去のコンテンツプラットフォームと比較した場合、きわめて画期的な手段です。普通の企業はこのようなことは、他のゲーム会社などのコンテンツ提供サイドの反発が怖くてできません。
しかし、この行為はコンテンツプラットフォーム業界にとっては、画期的な出来事でしたが、Appleがきわめて専制的な対応をすることを衆目にさらしたのも事実です。この事実がどのような影響を与えるか、注目していきたいと思います。