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帝国化するAppleと挑戦者となったマイクロソフト

特定分野において一位を取った企業はなりふり構わず一位を死守しようとする。過去にマイクロソフトはなりふり構わず、全てのソフトウェア分野で一位をもぎ取り、そこで駆逐した他の企業と一緒にWindowsアプリケーションを作ってくれる開発者コミュニティも駆逐した。現在、Windowsには、そんなマイクロソフトの掃討戦をなんとか生き延びた良く訓練された企業だけが残っている。.Net FrameworkとC#、DirectXという極めて優れた開発環境の恩恵を受けているのは、XBOXに関わるゲーム開発者だけだ。マイクロソフトは現在唯一生存するこの開発者コミュニティを守るため、マイクロソフトとしては規格外のサービスをゲーム開発コミュニティに対して行っている。
さてさて、最近、Appleが騒がしい。つい最近だけでも、以下の3つの事件があった。
まずはグラビアアプリ一斉削除事件。

次に、Appleの端末メーカーHTCに対する提訴。

最後に本日のPlaceEngineアプリ掃討事件だ。

Appleという一つの企業がおこなっているのだから、当たり前の話だが、これらの話は全てつながっている。全ては、現在のiPhoneの優位性をキープしたまま、iPadにつなぐためだ。グラビアアプリ一斉削除に関する感想は如何にブログを書いた。

AppleのHTC提訴について

AppleのHTC提訴は多くの人がブログなどで述べている通り、AndroidそしてWindows Phone 7 seriesに対する牽制と威嚇だと考えて良いと思う。特に、AppleはWindows Phone 7 seriesにXBOX360の開発者コミュニティが一気になだれ込んでくることを警戒し、その前にWindows Phone 7 seriesの中で先駆けて良い端末を作る可能性のあるHTCを叩きにきたのだと思う。ご存じの通り、マイクロソフトのゲーム部門は開発環境は素晴らしいが、ハード部門は故障率30%近いと言われるXBOX360を代表に非常にお粗末だ。HTCがWindows Phone 7 seriesのリファレンスモデルを作成する可能性は高い。Windows Phone 7 seriesの仕様を見る限り、かなりiPhoneの仕様を研究した箇所が見受けられるので、ここでHTCをたたいておくことはGoogleとMicrosoftの2社に対する牽制となり、非常に効率が良い。逆にHTC以外の会社が作る端末はハード的にiPhoneのライバルになるとは考えていないのかもしれない。

PlaceEngineアプリ掃討事件と帝国かするApple

本日のPlaceEngineアプリ掃討事件だが、正直、こちらは良くわからない。アプリを消す2週間くらい前に消す会社に対して警告するくらいの手順を踏めば、このようなevilなイメージを与えることなく、もっとスムーズにAPIの廃止を行えたはずだ。ソフトバンクのYahoo!地図アプリまで配信停止になっているところを見ると本当に連絡はなかったのだと思う。
特にセカイカメラは本日の新API発表会をアプリを停止されたまま行うという、関係者にとっては悪夢のような事件が発生した。正直、自分がこんな自体になったらと考えると胃が痛い。

今後もアプリの一斉販売禁止、マーケットの方針変更を通知無く一方的に行うとなると、もうそのことを前提に体制を組む必要がある。ただ、コンテンツプラットフォーム設計としてこのような高圧的なイメージを与えておくということが、著しくそのプラットフォームの運用コストを下げることも見逃せない。ほとんどのプラットフォーム(特にゲーム)では、このような路線変更はかなり用意周到にできるだけ混乱なく行う。ただ、その「混乱無く」を実現するためにスピード感を失い、プラットフォームの再定義をダイナミックに行えないため保守的な運用となることは前回述べた。
今回のPlaceEngine事件もOS変更のタイミングでdisableにするということも可能だったことを考えると、iPadのために対応を急いだと考えるのが自然だと思う。ただ、その理由がイマイチわからない。
[追記]fladdictさんが早速分析を披露している。でもSDK違反なら、OSのバージョンチェンジのタイミングで行えばいいので、3なのかなーって思うのだが、もし3だとしたらあまりにも強引すぎる気が。

ただ、このような急激なプラットフォームの変更が可能な状態をパートナーに対して維持しつづけるという体制はまさしく帝国だな、と思った次第。最近のAppleの動きは本当に興味深い。このあたりの話は以下もどうぞ。