東のエデンが「東のエデン劇場版2 Paraise Lost」で完結しました。
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東のエデン流日本の救い方
東のエデンのストーリーでその核となる部分は、「100億円で日本を救う」という命題に各個人が挑む部分なのですが、主人公の滝沢が100億円を元手に願いを叶えるコンピュータであるジュイスに対して「俺をこの国の王様にしてくれ」という願いをテレビ版の最終話で行います。この願いに従い、ジュイスは滝沢を「日本の総理大臣」にするべく活動を始めるのですが、「東のエデン劇場版? Paraise Lost」の最後付近で滝沢がこの願いを取り下げ、以下のような「滝沢流の日本の救い方」を行います。
- 日本全国民の携帯電話に対してビデオ電話をかける
- そのビデオ電話の中で、逃げ切りを決め込もうとしているオッサン達に、逃げ切りを決め込むことをやめ、若者たちと新たな未来をつくることを迫ります。
- さらにその証拠として全国民の携帯に電子マネーで一円を振込みます。
この一連のプロセスをみて、この戦いの仕掛け人であるミスターアウトサイダーは勝負が決したことを告げ、終了を宣言します。
さて、この一連のプロセスは何だったのか
このプロセスはなんだったのか。終わった後、一緒に映画を見た@kosukさん、@yukanonさんといろいろ話したのですが、@shi3z_nowさんの以下のつぶやきなどはかなり僕の感じたことを的確に現してくれています。
東のエデンは、金さえあれば何でもできる、という風潮のなかで、本当になんでもできるのか実際にやってみるという視点が新鮮だった。そしてやればやるほど、金でできないことが浮き上がってくる構造も良かったね
さらに、国益への貢献、さもなくば死という設定がごくありきたりな若者的価値観の滝沢を強引に駆り立て、進んで犠牲者となる選択を受け入れるあたりも秀逸。自ら矢面に立つことでその他大勢を護るひろゆき的な役割の、どこか飄々として掴めない滝沢というキャラクターの造形は現代の英雄像と言える
東のエデンの最後で、滝沢のやったことは無駄だったことが描写されます。しかし、その中でなお滝沢は映画の最後の最後のカットで、ミスターアウトサイダーを探し出し、「じいちゃんにやってもらいたいことがあるんだ」と言って、日本を良くするプロセスをまだ模索し続けます。この結果ではなくプロセスを重視するラストが、今の日本の状況において、金で解決できる問題、トップダウンで解決できる問題は少ないが、それでも前進を止めない、折れない飄々としたヒーロー像を描いてくれたのがすごく良かったです。東のエデンはARを軸にした、東のエデンシステム、自分は滝沢のプロデューサーに徹することで何かを変えようとするセレソンなど、いろいろなギミックが登場します。このようなギミックと滝沢のヒーロー像が合わさって、いかにもネット世代、現代っ子的な味付けのヒーロー譚が完成しています。
たぶん、この話に共感できない人も多いのではないかと思いますが、大企業であがいたり、フリーランスで何かを成し遂げようとしている20代後半、30代前半の方々には何かが届く映画だと思います。ぜひ、TV版、劇場版1をDVD、`BDなどで視聴した上で、現代の英雄譚を楽しんでいただければ、と思います。