明日、収録のサブカルパジャマトークで電子書籍について語ろうという話をしており、何を話そうかと思っていたのだが、アンカテの以下のエントリーを読んで、この「裏切り者」というポジションに関して、ちょっと考える必要があるな、と思った。
裏切り者が出た
「アマチュアのオープンソース軍団」対「プロのサーバ技術者軍団」という見方は単純化しすぎだが、そう単純化した場合、IBMは絶対サーバ側だと思っていたが、こいつが裏切って向こう側に参戦した。
IBMが、専門的な知識を持つ社員をLinuxの開発に参加させ、Linuxを自社の製品ラインの最重要コンポーネントとして、いろいろな所に使いはじめた。これは「ウィキノミクス」という本に詳しく出ているが、オープンソースのコミュニティは当初、「これは何かの陰謀だろ」と警戒した。IBMは、相当気を使いオープンソースのやり方を尊重した上で、その活動に参加した。
私は技術的詳細まで踏みこんで見てはいないので、IBMの貢献がどの程度のものだったのかはよくわからないが、この時期に、Linuxは、サーバ用途で使える方向に急速に進化していった。
この中で紹介されているウィキノミクスは確かに2007年当時は非常におもしろい本だった。ただ、最近読むには、ちょっと事例が古いかも。
ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ | |
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で、そのプラットフォームに対して、今後コンテンツを供給することになるのが、雑誌、新聞、本などの出版業界あるわけだが、どうもこの出版業界は「裏切り」に対するセンスが不足しているように感じる。「裏切り」のセンスとは簡単に言えば将来の大きな流れを信じて「逆に張る」ことである。
傍から見ていても、今こそ出版業界に必要なのは「裏切り」である。他の企業が図体の大きさ、既得権益のしがらみの中で、身動きがとれなくなっている中で、逆に張ることができる「裏切り者」こそが飛び抜けることができるはず。そんなことを感じた。明日の収録ではそのあたりのことを語ってみたいなと感じた次第。ただ、出版だけではなく、ゲーム業界も多かれ少なかれそんなジレンマはあるので、明日は我が身ではある。