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「T京K芸大学マンガ学科一期生による大学四年間をマンガで棒に振る」から考える正しい努力が存在しない分野で勝負することのリスク

この漫画はいろいろ考えさせられた。

東京工業大学の卒業制作らしく、以下のTogetterなどでたくさんの漫画家の皆様の反応などをみることができる。

内容としては、T京K芸大学マンガ学科一期生が大学4年間、漫画家を目指し結果的にその4年間を棒に振ったという話(作者は主人公ではないらしい)なのだが、話の構成は非常に読ませる。
ただ、どうも現実は結構違うらしく、大多数の漫画家から見たらレアケースではあるらしい。

あと、努力の大切さを訴えるためのフィクションとして、山下さんは70本の作品を作り投稿も8本ほどということになってるけれど…残念、90%の漫画家は投稿3作以内に担当つくかデビューする。苦節何十本投稿…なんてのは特殊な例外。才能と運の世界です。だって、努力は誰でもやってるのだから。less than a minute ago via Twitter for Mac

漫画自体の感想は、他の方々に任せるとして、この話を読んでいて思ったのが、「正しい努力が存在しない分野で勝負することのリスク」が高くなっているということ。というのも、上記のつぶやきでもわかるとおり漫画家になることになる最もリスクの低いルートというのは、早いうちに持ち込みで何度か自分の才能と運を試してみて、3回くらいだめならきっぱりあきらめるor同人で活動する、というものなのではないかと思うのだが、実際大学4年間はそのための投資としてはかなり高いし、例えばエンジニアなどと比較した場合、自分の努力に比例した成果が出る可能性というのはかなり低い。この自分の努力に比例した成果が出るというのは、学習の特に前半においては非常に重要で、人は自分の成果を通して学習を行う面があるので、最初の成果がでないとなかなか能力も積み上がらない。
例えば、東欧のハッカーはまずOSS活動などで自分の名前を売って他の国に企業(Googleとか)から雇ってもらうのが王道らしいのだが、そのような梅田望夫氏の言うところの知の高速道路がひかれていない分野に、自分の将来をベットするという行為については、今後の日本ではさらに慎重に考える必要がでてくるんではないかと思う。もちろん、自分の好きなことで勝負することは素晴らしいことだが、それとは別にリスクマネージメントはしておくに越したことはない。とくに創作活動はその表現方法とは別に分厚いバックボーンがあって成功している例がほとんどだと思うので、もし可能であればそのバックボーンとして知の高速道路がひかれた分野を選ぶ必要があるんじゃないかと思う。