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「カリスマドリブン」と「企画ドリブン」

日経ビジネスアソシエのちょっと前の号の特集が「ユニクロ・ほぼ日の現場力」でした。この中で紹介されていた組織の形態がわかりやすい組織とリーダーシップの最新形だな、と思ったので紹介してみます。

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日経BPマーケティング 2011-07-05
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ユニクロの現場力

この中で紹介されているユニクロの現場力というのは、まとめると以下のようになるかと思います。

  • 店舗経営は店長が全て。店長が個人の経営者としてやっていけるだけの力が必要。
  • 新入社員は修行期間など設けず、すぐに店長にさせて経験をつませる。
  • 育てた店長をガンガン海外に行かせる。そこで海外でやっていける人材を作りづづける。

つまり、日本で店舗経営のノウハウをすぐに吸収させて、若いうちにガンガン海外に行かせて経験を積ませる。日本では市場規模的にすでに成長はなかなか難しいので、人材を日本で育てて、海外で店長を個人として挑戦させるというやり方が紹介されていました。
このやり方ってなんなのか?と考えたときに最初に思い浮かんだのが店長というカリスマを生産し続ける「カリスマドリブン」という言葉です。日本の組織構造の特色として、中堅層の人材が厚いというのがあります。逆にトップマネージメントを専門に学んだ人というのはなかなか少ない。この構造を逆手にとって、中堅層を海外にぶつけていき突破口を切り開くというわかりやすい戦略だ、と思いました。もちろん商品開発などの強さなどはあるのですが、まずは現場というのが最近のトレンドですね。

ほぼ日の現場力

ほぼ日というのは糸井重里事務所が運営しているほぼ日刊イトイ新聞のことです。

ほぼ日の組織経営はもっとおもしろくて、まとめると以下のようになるかと思います。

  • 部署や階層がなく、一人でいくつものプロジェクトチームに所属
  • 一番やりたいと思っている人がやる。企画、制作、販売まで全て同じチームでやる
  • 社長の考えはtwitteryやコラムなどで外部とも共有される

このやり方ってつまり何なのかというとカリスマやリーダーを基本的には作らない方法なんですよね。このあたりは徹底していて、席替えを頻繁に行う「3-4ヶ月に一回席替えをくじ引きで行う」とか、ルーティンワークを作って忙しくするのを近日「多忙は怠惰の隠れ蓑」とかつまり序列ができ、硬直化するのを事前に防ぎ、すぐに新しい企画を作り、実行に移せるまさに「企画ドリブン」の会社です。個人の能力がフリーランサーとしてでもやっていけるとき、この「企画ドリブン」というやり方は組織を有機的に動かすことができ、また新しいことへ積極的に取組むおそれを払拭してくれます。これは組織の最新形態だと思いました。
ほぼ日の場合

「カリスマドリブン」と「企画ドリブン」

「カリスマドリブン」と「企画ドリブン」という造語を作ってみましたが、日本で強い組織を作る場合は中堅層にどれだけ厚みをもたせ、そこに権限を移譲することが大事になるので、この2つの方法論は効果的に作用すると思います。もちろん、生産しつづけるカリスマが時代遅れのものになったり、取り組む企画自体が魅力のないものになったりしてしまう危険性はあるのですが、ユニクロもほぼ日のその危険性の排除自体を社長がまず自分の職務と考えて行動しているのが強いですね。おもしろい特集でした。